レンマ学

中沢新一

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065170984
ISBN 10 : 4065170982
フォーマット
出版社
発行年月
2019年08月
日本
追加情報
:
482p;20

内容詳細

大乗仏教、哲学、量子論、言語学、精神分析、数学、生命科学、脳科学……を超えて、東洋知の結晶した華厳経の潜在力を大展開する未来のサピエンス学へ! 『チベットのモーツァルト』に始まった心と脳をめぐる探究の頂。文芸誌『群像』の連載「レンマ学」がついに単行本化!

「レンマ」とは何か? 哲学者山内得立が著書『ロゴスとレンマ』で提出した概念によっています。「ロゴス」は「自分の前に集められた事物を並べて整理する」ことを意味しています。その本質は時間軸にしたがう線形性にあります。それに対し、「レンマ」は「直観によって事物をまるごと把握する」という意味です。
西洋では伝統的に「ロゴス的知性」が重要視され、そのうちに理性といえばこの意味でばかり用いられるようになりました。ところが東洋では、「レンマ的知性」こそが、理性本来のあり方と考えられました。まさに仏教はこの「レンマ的知性」によって世界をとらえようとしたのです。大乗仏教、とりわけ『華厳経』が「レンマ的知性」による高度の達成を実現しようとしました。
現在、人間的理性能力のうち、「ロゴス的知性」の部分をコピーしている、人工知能の急速な発達によって、より根源的なもう一つの理性能力である「レンマ的知性」の存在が逆説的に、鮮明に浮かび上ろうとしています。
そして、「レンマ的知性」は、現代数学や量子論、言語学、精神分析、数学、生命科学、脳科学といった人間諸科学の解体と再編成をうながしていく可能性があります。この知的鉱脈を鈴木大拙や南方熊楠、井筒俊彦らは気づいていました。それを現在の知的装備を駆使して掘り起こす試みが、「レンマ学」です。


第一章 レンマ学の礎石を置く
第二章 縁起の論理
第三章 レンマ学としての『華厳経』
第四章 脳によらない知性
第五章 現代に甦るレンマ学
第六章 フロイト的無意識
第七章 対称性無意識
第八章 ユング的無意識
第九章 レンマ的数論(1)
第十章 レンマ的数論(2)
第十一章 レンマ派言語論
第十二章 芸術のロゴスとレンマ
エピローグ

付録
一 物と心の統一
二 レンマ的算術の基礎
三 心のレンマ学/A Lemma Science of Mind

あとがき
主要参考文献
索引

【著者紹介】
中沢新一 : 1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。明治大学野生の科学研究所所長。思想家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • yutaro sata さん

    線的、時間的に物事を把握していこうとするロゴスに対して、全体をいちどきに掴んでいこうとするレンマ。しかし言語は、脳は、ロゴス的な世界であり、レンマをどう学問として成立させるのかは難しそうに見える。しかしその難しさを突破し得る可能性があるのは現代数学というものの存在があるからだという。情報縮減という姿を取る圏論、物事の顕在、伏在を表現することのできる複素数の話など、高等数学には今のところ縁がないのだが、その道に分け入りたいという欲求の高まる読書体験だった。刺激的。 始まりは熊楠、粘菌。

  • Bartleby さん

    ロゴスを原理とするリニアな西欧的な知ではない、ノンリニアなレンマ的知を求めて。本書は「華厳経」に関する研究を土台に、南方熊楠、タコの神経系(分散型)、粘菌、量子力学etcに言及。この種の本は中沢新一のそれも含めていくつか読んだけれどいつもモヤモヤする。レンマ的な知を本書みたいにリニアな文章で説明することにどんな意味があるのかいまいち判然としないからだ。かといって仏教の修行などをする気もない私のような凡人には、レンマ的な知の重要性はわかるものの、いろんな分野の上澄みだけを掬っただけのもどかしい本でしかない。

  • 雲 さん

    レンマ学とは何か。語源的には物事をまるごと把握することとのこと。物事を順序立てて整理する論理的思考(ロゴス的思考)を対局に話は展開する。論理的思考は人間の進化の過程で成長してきたが、根にはレンマ的思考があるようだ。ある物ない物がお互いに影響し合い動き続けているこの世を、意識と無意識から体系化する学問とも言えるのか。よく数学者は数式を考える前にそのイメージが頭に浮かぶという。ライプニッツの微積分やアインシュタインの相対性理論などを本書では引き合いに出したが、そういう思考には無意識が作用しているのかな。

  • izw さん

    古代ギリシアでは理性に「ロゴス」と「レンマ」があると考えられていた。西洋では「ロゴス」が重要視されてきた。東洋では、直観によって全体をまるごと把握し表現する「レンマ」が重要視され、大乗仏教は全体がレンマ的知性・縁起の論理学で貫かれている。その高度な産物が『華厳経』であり、法蔵が『華厳五教章』で哲学的体系にまとめた。南方熊楠は縁起の論理に基づく新しい科学を創造すべきと説いた。両否の論理という同一律、矛盾律、排中律の成り立たない論理を基に4種の法界を展開する。心理学・量子力学を包摂するレンマ学を築いている。

  • amanon さん

    中沢氏の著作を読むたびに覚えるもやもや感は、本書でも例外ではなかった(苦笑)。かなり難解で、理解の程は怪しいとはいえ、それでも非常に刺激的な内容で、かなりの知的興奮を覚えたものの、やたら大風呂敷を広げられた感が否めない…これまで読んできた市の著作の殆どが、このように大風呂敷を広げ、あたかも全く新しい思想が到来する(あるいは実現する)かのような説を提唱しながら、結局それらの説へのフォローが尻すぼみになっている気がするのだが…著者後書きで本書の続編が示唆されているが、果たしてそれが事項されるのか?ちと疑問。

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中沢新一

1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。思想家、人類学者。京都大学特任教授。著書に『増補改訂 アースダイバー』(桑原武夫賞)、『カイエ・ソバージュ』(小林秀雄賞)、『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、『哲学の東北』(斎藤緑雨賞)など多数

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