Elvis Costello / Anne Sofie Von Otter (エルヴィスコステロ*エルビスコステロ)

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  • 正直、大変素晴らしいとまでは思えない。それでも4つ...

    投稿日:2010/08/18

    正直、大変素晴らしいとまでは思えない。それでも4つ星をつけたのは、クラシックバブル期に乱発されたクロスオーバー系の有象無象と同類に見なされるのが惜しいから。10年近く前の録音だが、この種の企画で本作を超えるものはそう出ないだろう。  アルバム全体のトーンは、薄暗くひんやりした中に微かな温もりとノスタルジーを感じさせるもので、コステロ好みのティンパンアレー臭が個人的にややウザいが、総括的に言えば穏やかさと緊張感のバランスが絶妙。  難点としては、まず、バッキングは注意深くつけてはいるが、それでも賑やかすぎてオッターの微妙なディナーミクをマスクしてしまう時がある。M18のサビの盛上りなどもちょっと苦しい。曲自体は、リズムパターンといい飛躍の多いメロディラインといい、典型的なコステロ流の一つなので何とかものにして欲しかったが・・・。  それと、選曲とアレンジの問題だが、クールジャズからミュゼットに至るまで様々な趣向でバラエティを持たせるが、アプローチが表面的で不満の残るものもある。その点、コステロとフレッシュクァルテットとの共作になるM4とM15は、色付けが薄いため取っつき易くもないがその分飽きにくい。クラシックのメゾソプラノの特質も活きているし、結構独自の世界を築いていると思う。この路線をもうちょっと聴いてみたかった。  ところでコステロのヴォーカルだが、オッターに集中して耳をすましているところにコステロの声が割込んできた途端、それまでの緊張が一気に緩んでしまう。この辺り難しい問題だが、M9など若干の違和感は残るものの両者の融和がある程度成功しており、一つの可能性を示すものだと思う。

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