'11年発表。ほぼ半数の曲で女性ボーカルをゲストに迎えて制作した実にトライアルな1枚だ。これまでのビート指向というイメージを自ら打ち破り、生楽器による温もりある質感のサウンドに、オプスキュアな女性の肉声を重ねて新たな歌の形を創出したヘレン。全ての曲が「The Only 〜」で始まるタイトルであるように、一つ一つが独立した物語のような構成なのも興味深い。“彼女だけの章”という意味のタイトルが与えられた本作は、次なるラウンドに入った今のヘレンにとってどのような試金石となるのだろうか。
'09年発表。様々な名義を使い分け、エレクトロニカ、ヒップホップ、ロック、フォークを横断する音楽性を発揮している、ギレルモ・スコット・ヘレン。彼のメイン・プロジェクトであるプレフューズ73が、日本限定盤をリリース。収録曲は全14曲。先日リリースされた最新オリジナル作「Everything She Touched Turned Ampexian」と比べても、何の遜色もないボリューム&完成度。ヒップホップのアタック感とエレクトロニカの緻密さを兼ね備えた、プレフューズ73の幻想的なブレイクビーツは唯一無二。本作で彼の斬新なプロダクションに魅了された人は、サヴァス&サヴァラスなど他の名義もチェックして、彼の深みに触れてみてほしい。