Liam Howlett製作のデモテープが<Xl Recordings>の耳にとまり、契約。そのデモに収録されていた曲 "What Evil Lurks"でProdigyとしてのデビューを果たす
。90年のこと。
"セカンド・サマー・オブ・ラヴ"の余韻が過ぎ去ろうとしていた92年に発表されたデビューアルバム『Experience』ではまだその爆発は小さなものだったが、ドラムンベースやジャングル、ビッグビート前夜の熱を帯びていたイギリス最大のムーヴメント、レイヴ・カルチャーの空気を見事に真空パックした94年の『Music For The Jilted Generation』でその地位をすでに不動のものとする。
97年に発売された『Fat Of The Land』でそのパワーをいよいよ全世界に見せつけることになる。“Firestarter”や“Smack My Bitch Up”など物議を醸した挑戦的な楽曲が並んだこのアルバムは、全米含む世界22カ国でチャート1位を記録した。より攻撃的で、より過激さを増したこのアルバムは、90年代ベストアルバムのひとつに数えられることもあるほど、驚異的な売り上げをほこった。特に、テクノやロック、ブレイクビーツといった枠組みを越えて、それを壊して広く認知させた功績は大きい。Chemical Brothersらとともに「デジタル・ロック」なるジャンルを日本にて確立したのも彼らである。
あまりに攻撃的なスタイルのため、世間や他アーティストと騒動になることもあった。特に過激だった"Smack My Bitch Up"の歌詞とプロモ−ション・ビデオをめぐりBeastie Boysから苦言をさされたこともあった。しかし、その頃にはもはや誰もProdigyを止めることは出来なくなっていた。
2001年の夏、突如として彼らはヨーロッパのフェスティヴァルに参戦しはじめ、長らく音沙汰のなかった音源への期待も高まるなか、2002年夏にはシングル「Baby's Got A Temper」を発表。これまでの「プロディジー・サウンド」のよい部分をそのままに、さらなる進化を遂げたこの曲は多くのファンの期待に応えるものであった。が、その後アルバム発表の予定が幾度も囁かれるがその度に白紙になっていた。
そして『Fat Of The Land』の衝撃から7年、2004年の夏にいよいよ新作がリリースされる。ようやくすべての曲の詰めを終えた音の司令官Liamはこの久しぶりのアルバムをこう表現している。「このアルバムはダークで、すごくエレクトロニックで、セクシーで破壊的、そして新しく響くと思っている」と。アルバムには11-12曲が収録される予定で、その中にはハリウッドスター ジュリエットルイスがボーカルをとっている曲、人気早口ラッパーTwistaが参加した曲、そしてOasisとのコラボレーション曲もあるという。また、これまでにないほどサンプリングを多用しているという話も出ている。
Chemical Brothers、Underworldと並ぶテクノ/ロックのモンスターバンド、それどころかイギリスでは、Oasis、Spice Girlsと並ぶセールスをほこる彼らの最新型サウンドが今のシーンにどう受け入れられどう影響していくのか。今から楽しみでならない。