楽曲、人物と過去との邂逅によるセルフカバー。 しかし、オリジナルとして価値ある作品。 オリジナルのテイストは残しながら、完成されたサウンドは完全にモダン。 新たなアレンジメントで、唯一無二のシンガーである由貴さんの今を表現。 独特の魅力的な歌声（ラジオはもっと）で、息づかいや鼓動がとてもエモーショナル。 昔から表現力ある歌唱だが、今作も女優フレイバー豊か。 「初戀」は大人の可憐さ。「さよなら」はあまりにも切ない。 武部さんの効果的なアレンジメントがこの作品をモダンに。 主にクラシック系だが、大人なファンには趣がある。 このアルバムの聴き方しては、オリジナルのフレームは持っても、 異なるものとして新鮮さをもって聴くと、より良さと味わい深さを感じるかなと。 そもそも若い人向けだったオリジナルのポップスとは違う。 あと、ヴォーカルを堪能したい場合はヘッドホン、イヤホン。 全体像を楽しむ場合はオーディオがおすすめ。 ライブ会場で体感すると、もっと本来の味わいに近く魅了されそう。 ヒーリング要素もあるこの素敵な古今作品。 オリジナルは変わらず大切にしつつ、 新たなオリジナルとして楽しんで聴き続けていきたい。

１９８５年デビュー曲「卒業」から２０１１年発表の「KIZUNA」まで斉藤由貴のベスト・セレクション１８曲を高音質のＵＨＱＣＤで発売です。たっぷり聴けてしかもとてもリーズナブルな１枚です。何年経っても彼女の声は特別です。おススメです。

ついこの間までただの一人の少女だったとは思えない、逆にそれまでどうやってただの日常を暮らしていたのか不思議になるほどの、堂々とした表現力に貫かれた一枚。デビュー2年目にして、歌唱に作詞にジャケットの表情に、水を得た魚としか言えない天性の素質が溢れかえっている。「今だけの真実」これだけの歌を作詞して表現できる人が平凡な少女でいられるわけもなく…。アイドルポップスの枠ではくくれない、クラシカルな魅力に貫かれた捨て曲なしの大名盤。