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Mahler (1860-1911)

Blu-ray Disc Symphony No.9 : Chailly / Gewandhaus Orchestra

Symphony No.9 : Chailly / Gewandhaus Orchestra

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  • ★★☆☆☆ 

    村井 翔  |  愛知県  |  不明  |  18/October/2014

    シャイーがロイヤル・コンセルトヘボウとの全集録音の最後、2004年に録音した第9番は、情動的なのめり込みを排してスコアを虫眼鏡で拡大したような克明、精細な演奏。全体としてはあまりブリリアントとは言い難い全集録音の中で断然光る一作だった。しかし、それから9年後のこの録画は全く別人のよう。映像から確認できる新機軸は第2ティンパニに硬いマレット(ばち)を使わせ、通常のマレットで叩く第1ティンパニと音色上の対比をつけていることだが、何よりもテンポの違いが大きい。全楽章とも前回録音に比べて遥かにテンポが速くなり、コンセルトヘボウ盤で89:46だった全4楽章の演奏時間は今回、77:35(拍手などを含まぬ実測時間)と相当に速い部類の演奏となった。そもそも入念なセッション・レコーディングと一発ライヴの今回録画を比べるべきではないのかもしれないが、基本的にクールなアプローチであることは変わらないものの、前回録音の精妙な細部拡大趣味は吹っ飛ばされてしまい、普通いや普通以下の演奏になってしまった。中間二楽章のダイナミズムにはそれなりに見るべきものがあるが、両端楽章はオケが速いテンポに乗り切れておらず、淡白どころかむしろ散漫。この演奏のテンポ設定のモデルかと思われるワルター/ウィーン・フィルの1938年録音、ノリントン/シュトゥットガルト放送響、シュテンツ/ケルン・ギュルツェニヒ管、そしてインバル/都響などは速いテンポによる録音だが、決して嫌いではない。しかし、この演奏からは音楽の自然な呼吸に逆らった「せっかちさ」しか感じられなかった。 シャイーとド・ラグランジュの対談、指揮者自身による曲についてのコメント、どちらにも今回から日本語字幕がついたが、悲しいほどに内容空疎。楽譜そのもののアナリーゼなら何とでもやりようがあるが、「第9交響曲を書くと死ぬという迷信にとらわれて・・・・」というアルマ作の嘘物語を語らぬとすれば、この曲には聴衆に分かりやすく言葉で語りうるような物語はもはや何もない、ということだろう。後者で現在のドッビアーコ(ドイツ読みトーブラッハ)村と作曲小屋の百年前とほとんど変わらぬ風景が見られるのが唯一の救い。かつてのバーンスタイン、現役世代ではティルソン=トーマスのように、こういう所で俳優顔負けの巧みな話術を見せる指揮者もいるが、(決して頭の悪い人ではないはずの)シャイーがこういう喋りに向いていないのも、今や明らかだ。

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