【連載】中島ノブユキ(第4回) 中島ノブユキ『日々螺旋階段』へ戻る

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2011年9月26日 (月)

photo:青野賢一

第4回 『鉛筆よもやま話』


今回のテーマは鉛筆。もしこの世からピアノというものが無くなったら相当なショックだろう。ショックすぎてがむしゃらにピアノでも弾いてやる!などと血相を変えてもそのピアノが無いわけで、ではもう拳骨で鍵盤を叩きまくってやる!などと考えてもそのピアノが無いわけで、もうその時点で汗はだらだらな状態な訳ですがとにかくショックが大きいことがいいたかった訳なのですがふと我に返ってさて五線紙と鉛筆というものが無くなったらどうなるだろうと考えると実はピアノの不在よりもショックが大きいのでは無いかと思う。そこには録音物では無く楽譜でつまりは記譜されたものとして自分の作品を残したいという本能がまだまだ自分の中に残っているからなのでは無いかと思う。

そんな大切な五線紙と鉛筆なのですが今回は「鉛筆」。どんなものを使っているかというと…。三菱の「Hi-uni」しかも濃さは B のみ。これしか使わない。自宅にはこの鉛筆しか無いはずなのだけどたまたま誰かの忘れ物とかで HB の鉛筆かなにかがあるのだけどたまたまそれを手に取ってしまうと一瞬ぎょっとする。仮に濃さが B だとしてもそしてたとえ三菱だとしても「Hi-uni」でないとこれまたぎょっとする。それくらいこの鉛筆の書き心地は素晴らしい。実家が文房具を扱っていたこともあって小さい頃からこの鉛筆を使っていたからなのかもしれない。

さて、そんなわけで鉛筆と言えば「Hi-uni」ということになったのだけど、ではあまたの鉛筆の書き比べをしたのかといわれるとそんなことはしていない。あ、いや昔は何回か浮気をして舶来ものにうつつを抜かしたりしたこともあったけどやはりこの「Hi-uni」に戻ってくる。実はこの三菱「Hi-uni」の最大の魅力は書き心地の良さだけではなく実はもっと本質的な良さがあるのだ。それはどこでも買えるってこと。これが意外と重要で新しいプロジェクトに着手するときには新品の鉛筆を10本おろしそれをすべて削っておく。この鉛筆を削るという儀式が作品に集中するきっかけになったりもする。しかしこんな時に舶来品だと近所で買い足したり出来ないのでチビた鉛筆とおろしたての鉛筆とが混在することになる。これはどうにも気分よく作業に入れない。自然と手軽に買えて且つ書き心地も最高の「Hi-uni」がやっぱり良い、ってことになる。

余談ですが、シャープペンシルの話。このいわゆるシャーペン、これが楽譜書きに最適だとのこと。確かにある種の均一な濃淡が出せるし何より削る手間がなくてよい。それは確かにいいかもなぁ。でも自分は濃淡のある楽譜が好きなので鉛筆を使っています。なれると縦棒を引くときと横の棒を引くときと芯の角度を変えたりしてね。もちろんデザインをしている人なんかには初歩の初歩のテクニックなのでしょうけど楽譜も綺麗なのがよいに決まっているし単に綺麗なだけではなくて視認性も大事だからその楽譜という情報を鉛筆の濃淡によって定着させているのです。


あっという間に書いてしまったけど本当はまだまだ書きたいことあるなぁ。定規は使うのか?浄書屋さんの楽譜の美しさについて。鉛筆と切っても切り離せない五線紙について。う〜む以外と深いテーマであった。この辺の話はまた次回!






商品ページへ   中島ノブユキ  『pianona』
    [ 2011年06月15日 発売 / 通常価格 ¥2,500(tax in) ]
[収録曲]
01. fragment I
02. Thinking of You
03. East St.Louis Toodle-Oo
04. fragment II
05. Oblivion
06. fragment III

07. Pocket
08. fragment IV
09. Kyrie
10. Simon's Dream
11. fragment V
12. What a Wonderful World
東神田のカフェ兼定食屋「フクモリ」にて、ピアニスト中島ノブユキが毎月行っているイベント「pianona」。その「フクモリ」の開店二周年記念として、中島ノブユキを中心にこれまでに共演したアーティストや楽曲が集い、一枚のアルバムが出来上がりました。
本作には中島ノブユキの他、持田香織(Every Little Thing)、武田カオリ(TICA)、権藤知彦(pupa)、鈴木正人(LITTLE CREATURES)、田村玄一(LITTLE TEMPO)、高田漣など錚々たる面々が参加。中島ノブユキの即興オリジナル・ピアノソロ「Fragment」5曲(うち1曲は「フクモリ」にある大正時代のピアノを録音した楽曲)をアクセントに、gabby&lopezの森俊二と石井マサユキをヴォーカルとギターに迎えたSister Sledge「Thinking of you」、武田カオリ・高田漣・鈴木正人による「What a wonderful world」、持田香織のソロ曲のセルフカヴァー「Pocket」など、絶品のカヴァー曲を収録。
孤高のピアニスト・中島ノブユキが「フクモリ」で育んだ、暖かくも不思議な空気感をそのままパッケージングした名盤となっています。


関連作品

中島ノブユキ プロフィール

中島ノブユキ

[中島ノブユキ / Nobuyuki Nakajima]
音楽家

ピアニストとしては勿論の事、時に作・編曲家としてエレガントかつスリリングなアンサンブルを構築し、映画音楽〜JAZZ〜POPS〜広告音楽〜クラシック 等様々なフィールドで展開。編曲家として菊地成孔、UA、ゴンチチ、沖仁、高木正勝、CALMらの作品に携わる。またピアニストとして畠山美由紀、ジェーン・バーキン、高田漣、原田知世らと共演。2010年タップダンサー熊谷和徳と東京フィルハーモニー交響楽団が共演する「REVOLUCION」に参加(音楽監修/作曲、オーケストレーション)。映画「人間失格」、アニメーション「たまゆら」の音楽を担当。ソロアルバムとして『エテパルマ』(06)『パッサカイユ』(07)『メランコリア』(10)を発表。2009年より月例ピアノ演奏会 "pianona" をフクモリにて開催中。2011年6月発表のコラボレーションアルバム『pianona』をプロデュース(持田香織、森俊二、武田カオリ、高田漣、北村聡らが参加)。近年は完全即興と作曲との稜線を行くピアノソロによる演奏活動も行っている。日本大学藝術学部で教鞭を執る。


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中島ノブユキ 今月のレコメンド
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ギニア生まれのギターリスト。ほとんどパーカッションの入らないしかし瞑想的ではない。長年愛聴していたとあるアルバムに参加していたのがカンテ・マンフィーラだった。そのCDをなくしてしまって10年以上が過ぎたときまた出会えたのがこのCDなのだ。懐かしすぎるギターの節回しにうっとりさせられる。


関連リンク

「フクモリ」は、一人でも立ち寄れる「カフェ兼定食屋」です。
  『フクモリ』HP





中島ノブユキ Live情報


中島ノブユキ 月例ピアノ演奏会 "pianona"

pianona 『カキヒキ』でもカケヒキなしヨ(by Ed TSUWAKI)
音楽家・中島ノブユキさんによる月例のpianona。今月は、イラスト、ファッション、プロダクトetc..様々な分野で活躍するアーティスト、エドツワキさんをお迎えし、ピアノ+ライブペインティングでお送りします。pianona初の“音”以外での共演。中島ノブユキさんの織りなす音色を、エドツワキさんはどう表現するのか(はたまた逆なのか??)どんなカキヒキが繰り広げられるのでしょうか…。貴重なLIVE体験、お見逃しなく!

【出演】中島ノブユキ(piano) / エドツワキ(live painting)
【日時】2011年9月29日(木)open 19:00 / start 19:30
【料金】4500円
【場所】フクモリ(リンク




※次回に続く




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