【コラム】Akira Kosemura第29回 細い糸に縋るように Akira Kosemuraへ戻る

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2011年12月12日 (月)

連載コラム『細い糸に縋(すが)るように』
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小瀬村 晶 / AKIRA KOSEMURA

1985年生まれ。東京在住の音楽家、音楽プロデューサー。
これまでに国内外の音楽レーベルから作品を発表しているほか、TVやWEBのCM音楽、ファッションブランドのサウンドデザインなど、様々な分野で活動を展開。
2007年より自身が手掛けるレーベルSCHOLE RECORDSを主宰し、これまでに数多くの若手音楽家を発掘、作品のプロデュースも行っている。
2011年4月に自身5枚目となるソロアルバム「how my heart sings」を発表。



冬眠の季節がやってきた。

僕は寒いよりは暖かいほうが好きで、それは感覚的なことではなくて身体的に、ということなのだけれど、寒いと手足は氷のように冷たくなるし、耳が痛くてくらくらするのです。
だからもしできることなら本当は、冬が近づいて寒くなってきたら布団にうずくまって深い冬眠をし、数ヶ月の後で、春先の陽射しのなかでよっこらせっと目覚めたい。ほとんど熊のように。

もちろん、冬特有の季節感のなかには、美しい美学があって、年末の薄暗いなかに黄色い光がちらついて、例えばクリスマスのムードは一年のなかで一番心が温かくなる雰囲気だと思う。
クリスマスソング、鈴の音、ソリの音、子供達の聖歌、おもちゃ屋さんの活気、そのどれもがとても愛おしい。

でも、その多くは最近ではなかなか見かけないものもあり(これは時代的な移り変わりの話なので仕方がないといえば仕方がない)、僕はどちらかというと、そういう象徴的なクリスマスに触れたくて、毎年クリスマスの夜はどこへも出掛けずに、家でクリスマス映画を散々観る、という過ごし方に決めている。
だって、クリスマスのために作られた歌や映画を本当に楽しめるのは、一年に一度、クリスマスの日だけなのだから。

というわけで、家に何本もあるクリスマス映画は、クリスマスにしか観ない(クリスマスまで我慢する)ので、この時期にもなると、いまかいまかとクリスマスが待ち遠しくなる。
自分でも子供みたいだなと思うけれど、やっぱり幾つになってもクリスマスへの憧れを失いたくないし、それが人それぞれどういう形であったとしても、いくら時代が移り変わっても、クリスマスという存在が、いつまでも人の心を温かく包んでくれるもので在り続けて欲しい。

つまり、僕にとってはそれが、自分が生まれ育った80年代-90年代のクリスマス映画ということになるのだけれど。(来年は趣味でクリスマス映画特集冊子でも編集しようかな)


次回のコラムは2012年になるわけですが、今回のコラムが確か29回目だったと思うので、2012年最初のコラムを書けば、この連載も無事に30回目を迎えることになります。
月に一度のことなので、ちょうどいま二年半連載を続けたことになるわけだけれど、これだけやってきても、コラムというものがいったいどういうものなのか、いまだによくわかっていません。
好き勝手に書いて良い、テーマは自由、という話だったので、時にはテーマを決めずに感覚で、話をするようにいまも書いているわけですが、いつも心は不安です。大丈夫ですか?届いていますか?

いま思ったけれど、コラムというのはもしかしたら、独り言のようなものなのかな。

ということで、次回のコラムは過去の自分のコラムを読み返して、赤ペンで添削していくのはどうだろうかと思っています。
このコラムは我ながらよく書けてるとか、これは明らかにやっつけてるとか。

やっぱ、だめかな。


それでは皆様、良いお年を。
このコラムを読み続けてくれている人達に、来年もきっとたくさん良いことがありますように。




  http://www.akirakosemura.com/
  http://www.scholecultures.net/

※現在scholeでは東日本大震災支援プロジェクト『SCHOLE HOPE PROJECT』が発足。
 詳しくはレーベルサイト http://www.scholecultures.net/にて。




 Akira Kosemuraの「今年のオススメ」

年の瀬ということで、2011年発売の音楽作品から、個人的に良いな、かっこいいなと思ったものを三つだけ選びました。
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   [2011年01月15日 発売]


SCHOLEから今年の年初めにリリースした作品。僕にとっては、冬に手放せない定番です。 耳を真っ赤にして帰ってきても、この音楽を掛けるだけで心はすぐに温まる。ロウソクのような音楽。
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   [2011年04月20日 発売]


まさか聴いていない人がいたら、それは幸運。素晴らしい作品に出会える機会がまた一つ増えたわけだから。
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   [2011年06月15日 発売]


かっこ良くてびっくりした。四名のリミックスを含めたアルバムの構成も申し分なくて、この手の音では今年一番かっこ良かったと思います。






商品ページへ 【Akira Kosemura最新作】

  Akira Kosemura  『how my heart sings』

    [ SCH018 / 2011年04月11日 発売 / 通常価格 ¥2,310(tax in) ]





音楽は歌うように。
小瀬村晶、ピアノアルバム。

これまでに発表してきた4枚のソロアルバムを始め、様々な音楽家とのコラボレーション、TVやWEBなどへの楽曲提供、ファッションブランドへのサウンドデザインなど、小瀬村晶はデビュー以降、様々な手法で自身の音楽と向き合い、それを発信し続けてきた。
今作「how my heart sings」は、そんな彼が最も愛する楽器である「ピアノ」と向き合い、昨年の春から秋に掛けて、歌うようにして紡いできた音楽の記録である。
秋の夕刻、鈴虫が歌う初秋に、大倉山記念館にて録音された本作品には、昨年春のピアノコンサートツアーのために書き下ろされた楽曲やコンサートアレンジに加え、荒木真 (saxophone) と白澤美佳 (violin)を演奏家に迎えた楽曲、そしてツアー後に自宅スタジオで作曲された楽曲が収録されている。
この作品はなによりも、小瀬村晶という一人の人間が、自分の心に映っては消えていく旋律をピアノという楽器を用いて歌うようにして紡いできた、とてもプライベートな音楽である。そして時折、心を寄り添うようにして演奏される二人の音楽家によるハーモニー。

芽吹の春から、静謐な秋へ。音楽は歌うように。

  『how my heart sings』SPECIAL SITE




商品ページへ 【schole records最新作】

  Quentin Sirjacq   『La Chambre Claire』
    [ SCH020 / 2011年11月09日 発売 / 通常価格 ¥2,100 (tax in) ]

親密な音楽の調べ。
フランス・パリ生まれの作曲家 / ピアニスト、Quentin Sirjacq による日本デビューアルバム。
光の揺らめきを題材にした本作。 時に踊るように、果ては慈しむように、ロマンティシズムに溢れた Quentin Sirjacq のピアノの調べが、波のように満ちては引いていく、あまりに美しい「明りの部屋」。 そこはかとなく揺らめき合う明りを眺めながら、身を委ねて沈んでしまいたくなるほどに、心の奥底に眠る美意識の湖畔へと誘っていく。 ピアニストとして、すでに Fred Frith や Joelle Leandre, William Winant の作品への参加、さらには、James Tenney や Steve Reich, Frederic Rzewski, Jose Maceda の作品にも関わり、作曲家としても、Bruno Bayen, Marion Bernoux, Richard Bean, Jacques Taroni 等と映画やテレビ、ドキュメンタリーの仕事を共にしているというフランスの若き巨匠。
音楽に身を委ねた後に残る、親密な心模様を感じられるような、パリからのささやかな贈り物。

※本作は、フランス国内にて2010年に発表された作品の国内盤となります。



次回へ続く…(1/10更新予定)。


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    良質なエレクトロニカ/フォークトロニカ作品をリリースし続けるレーベル“schole(スコーレ)”。
    そのカタログタイトルをHMVスタッフが一挙レビュー。







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