【コラム】Akira Kosemura第34回 細い糸に縋るように Akira Kosemuraへ戻る

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2012年5月10日 (木)

連載コラム『細い糸に縋(すが)るように』
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小瀬村 晶 / AKIRA KOSEMURA

1985年生まれ、東京在住の音楽家。2007年にSCHOLE INC.を設立。
これまでに国内外の音楽レーベルから数多くの作品を発表しているほか、TOSHIBA, NIKON, nano・universe, JOURNAL STANDARDといった企業サイトのサウンドデザインやアパレルブランドとのコラボレーション、さらにはドキュメンタリー作品「ウミウシ 海の宝石」の音楽、ケンタッキー・フライドチキンTVCMの楽曲制作、キミホ・ハルバート演出・振付によるダンス公演「MANON」の劇伴を手掛けるなど、様々な分野での楽曲提供・コラボレーションを行っている。
コンサート活動も行っており、これまでにOTODAMA SEA STUDIOや中洲JAZZフェスティバルにも出演、2011年には全国7都市 / 中国5都市を巡るピアノコンサートツアーを開催し、日中両国にて高い評価と成功を収めた。
また自身の音楽活動と並行し、音楽レーベルschole recordsを運営、数多くの作品に携わっている。
最新作は、2枚組80分の超大作「MANON」オリジナル・サウンドトラック。(2012年5月23日発表予定)



ここのところ、身体の調子がどうもあまり優れない。
妻に勧められて生まれて初めてマッサージを体験してみたんだけれど、その時は良くてもやっぱりすぐに戻ってしまい、これはどうしたものかなぁと思い悩んでいた。
打ち合わせの席でも、初対面にも掛からず僕が話題にすることといえば、どこか良いマッサージか整体知りませんか?という具合だったので、もしかしたらなかには、あれ、この人大丈夫かな?と思われていたかもしれません。

ところがです。そんな僕をいよいよ見かねてか、最近自宅の隣の建物に整体が入ったのです。
普通なら、よし今度は整体に通ってみよう、となるところですが、いままでの人生、マッサージや整体にまったく縁のない生活を送っていた僕としては、ようやくマッサージ初体験を済ませたことだけでもけっこうな大事だったわけで、いくら都合よく自宅の隣に整体が出来たからといって、そうかそうかという具合に簡単に行く気にはなれません。
こうして、毎日建物の前を通っては、なんとなく様子を伺う日々が続いていたわけですが、そうこうしているうちにも僕の身体の状態は悪化の一途を辿り、数年前までは12時間座って作業し続けていてもへっちゃらだった身体はいったい何処へ、いまでは3時間も座って作業をしていると、もう背中がピキピキと悲鳴を上げて休憩しなくてはならないような状態に。
さらに、いままでは背中の痛みだけだったはずか、段々と腕のほうまで痺れてくるようになり、あげくの果てには風邪まで引いてしまう始末。
これはそろそろやばいのではないか、ということで一人悶々としていると、妻が一言「こんなに近所にできたんだから一回行ってきなよ、どうせ近くなきゃ行きもしないんだから」と言われ、たしかにそうだな、出不精の僕はまず整体に行く為に電車に乗ることはないので、なんだか妙に納得してしまい、これはきっと神のお導きに違いない、と心を決めて、とうとう整体デビューを果たしたわけです。

結果から報告すると、整体最高でした。
一時間ほど掛けて、電気を流したり、マッサージをしたり、お灸や針も使っては、まるで機械のメンテナンスでもするかのように、僕の身体の滞った循環を工事してくれた結果、なんとも生まれ変わったように身体がすっと軽くなったではないか。まさに奇跡です。
僕は深い感動と共に、晴れ晴れとした心持ちのなか、るんるんと口笛を吹きながら自宅へ帰っていったわけです。

早速帰って妻に、いかに整体が素晴らしかったかを報告すると、「あ、そう。うん、良かったね」という感じ。
うーん、この感動がうまく伝わっていないようなので、仕方なくコラムで報告することにした次第です。


というわけで、僕はこれから整体に通いながら、合間に音楽を作り続けていくわけですが、今月は一年振りにアルバムが出ます。
フランス古典文学「マノン・レスコー」を下敷きに、キミホ・ハルバートさん振付・演出によって新たに生まれ変わった舞台「MANON」のために書いたオリジナル・サウンドトラック。
迫りくる背中の痛みと戦いながら作り上げた作品です。

今回は劇伴ということもあり、いつもよりもずっと多くの方に関わって頂いて作り上げることができた作品なので、自分の思い描いた音楽が形になった時の感動も一入、作品が出来上がったときの感謝の気持ちも一入、聴いて欲しい気持ちも一入、です。

というわけで、半ば無理矢理宣伝にこぎ着けましたが、僕がやらぬで誰がやる!なわけで、ニューアルバム「MANON」手に取って頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願いします m(_ _)m




  http://www.akirakosemura.com/
  http://www.scholecultures.net/

※現在scholeでは東日本大震災支援プロジェクト『SCHOLE HOPE PROJECT』が発足。
 詳しくはレーベルサイト http://www.scholecultures.net/にて。




 Akira Kosemuraの「今月のオススメ」
商品ページへ   『バグダッド・カフェ 完全版 デジタル・ニューマスター 』
    [ 2003年04月25日 発売 / 通常価格 ¥3,990 (tax in) ]



たくさんのアーチストにカヴァーされている名曲“コーリング・ユー”のメロデイとともに世界中を感動させた『バグダッド・カフェ』の完全版。全編に漂うホノボノした感じはオリジナルと変わらないがちょっとした場面が追加されてることによりラストシーンが更に心に染み入ってくる。何度でも観たくなるきっと誰もが感動できる作品。
(HMVレビュー)







商品ページへ 【Akira Kosemura最新作】

  Akira Kosemura   『Manon』

    [ SCH023 / 2012年05月23日 発売 / 通常価格 ¥3,000 (tax in) ]





18世紀フランスロマン主義文学の名作「マノン・レスコー」(アベ・プレヴォー原作)を、キミホ・ハルバート演出・振付によって現代にも重なるアレンジを施したダンス公演「MANON」。本公演の劇伴を担当した小瀬村 晶による書き下ろし楽曲、2枚組 全80分に及ぶ超大作のサウンドトラック。

風の様に天真爛漫で、終いには自分が巻き起こす竜巻に巻き込まれ死を迎えるマノンと、彼女との出会いから運命に翻弄されつつもマノンを愛し続けるデ・グリュー。二人の壮絶な恋愛劇を、時に美しく、時に儚く、そして時に残酷に、運命に翻弄される二人の人生に呼応するように書き下ろされた音楽からは「生きることへの喜びと、生き抜くことへの困難さ」という、現代にも通じる普遍的なテーマへと重なっていく。
前作のオリジナル・アルバム『how my heart sings』は、自身のピアノ演奏に重きを置いた飾らない演奏によるシンプルで美しいピアノ・アルバムだったのに対して、今作では、演奏家に白澤 美佳(ヴァイオリン)、人見 遼(チェロ)、良原リエ(アコーディオン)、三沢 泉(マリンバ・パーカッション)、高坂 宗輝(ギター)、荒木 真(フルート)、Shaylee(ボーカル)を招き、様々な顔を持った楽曲アレンジを施している。さらには、ギミックの効いた電子音楽や、ノイズ・ミュージックなど、これまでの小瀬村 晶作品では見受けられなかった作風も大胆に散りばめられており、オリジナル・アルバムとはまたひと味もふた味も違った、職人としての側面も垣間みれる充実の作品に仕上がった。
舞台作品のサウンドトラックでありながら、一音楽作品として非常にエキサイティングな聴覚体験が続く全80分、19曲を完全収録。

※舞台作品としての一連の流れを徹底した美意識で追求した本作は、小瀬村 晶 本人の希望によりCDフォーマットのみでの発売となります。



次回へ続く…(6/11更新予定)。


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