コヴァセヴィチ／ベートーヴェン・ボックス（６ＣＤ）

2013年12月19日 (木)

ベートーヴェン：ピアノ協奏曲全集、ピアノ・ソナタ集（６ＣＤ）
コヴァセヴィチ、コリン・デイヴィス＆ＢＢＣ響、ロンドン響

名ピアニスト、スティーヴン・コヴァセヴィチがフィリップス時代に制作したベートーヴェン録音を集めたセットがプライスダウンして復活。
　1940年にクロアチア人の父とアメリカ人の母のあいだにロサンジェルスに生まれたコヴァセヴィチは、母の再婚のため少年期に姓がコヴァセヴィチからビショップに変わっています。そのため、スティーヴン・ビショップとして演奏していましたが、同時期に活躍していた歌手でギタリストのスティーヴン・ビショップと頻繁に間違われて煩わしかったため、1975年以降はスティーヴン・ビショップ＝コヴァセヴィチ、またはスティーヴン・コヴァセヴィチと名乗るようになり、現在は後者で一貫しています。
　アメリカで神童として知られたコヴァセヴィチは、18歳のときに渡英してマイラ・ヘスに師事、イギリスを拠点に演奏活動を展開するようになり、1961年にウィグモア・ホールでおこなったディアベッリ変奏曲ほかのリサイタルによって大成功を収め、その後、PHILIPSと契約を結ぶなどして頭角を現してゆきます。
　当セットに収められたベートーヴェン演奏の数々は、改名前後の時期、20代後半から30代後半にかけての若き日にセッション録音されたもので、PHILIPSの自然な録音によって、コヴァセヴィチのピアノの魅力を満喫することができます。
　その演奏スタイルは、緩急の幅を大きくとったコントラスト豊かでダイナミックなもので、堅固な構築性がベートーヴェンの動機労作のポイントをよく伝えてもくれます。協奏曲におけるコリン・デイヴィス指揮するオーケストラの颯爽とした演奏も聴きものとなっています。（ＨＭＶ）

【収録情報】
ベートーヴェン：
・ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15
・ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.19
・ピアノ協奏曲第3番ハ短調 Op.37
・ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
・ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73『皇帝』
・ピアノ・ソナタ第30番ホ長調 Op.109
・ピアノ・ソナタ第31番変イ長調 Op.110
・ピアノ・ソナタ第5番ハ短調 Op.10-1
・ピアノ・ソナタ第8番ハ短調 Op.13『悲愴』
・ピアノ・ソナタ第18番変ホ長調 Op.31-3
・ピアノ・ソナタ第28番イ長調 Op.101
・ピアノ・ソナタ第17番ニ短調 Op.31-2『テンペスト』
・ピアノ・ソナタ第32番ハ短調 Op.111
・ディアベリ変奏曲 Op.120
・バガテル集（Op.33, 119, 126）

　スティーヴン・コヴァセヴィチ（ピアノ）
　BBC交響楽団（協奏曲第1～4番）
　ロンドン交響楽団（協奏曲第5番）
　コリン・デイヴィス（指揮）

　録音時期：1968～1978年
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）
　原盤：PHILIPS