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『宮崎駿作品集』の魅力とは!?〜メルマガにて公開中深堀りレビュー!

Sunday, June 22nd 2014

  • 【6/22(日)配信号掲載】
    宮崎駿監督による「スタジオジブリ」制作映画の第9作(2013年7月20日公開)。

    風立ちぬ

    ★★★★★

    ユーザー評価 : 5点 (1件のレビュー)

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    深堀りレビュー
    『風立ちぬ』は宮崎駿監督による「スタジオジブリ」制作映画の第9作(2013年7月20日公開)。宮崎駿監督による渾身の最新作であり、そして“最後”の長編作品です。

    『風立ちぬ』公開となった2013年7月20日、21日の2日間での興行収入は9億6,088万円、観客動員数は74万7,451人となり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)初登場第1位!そして2013年の映画興行収入ランキングでも堂々第1位!と大ヒット作品となりました。また映画公開中の同年9月、宮崎駿監督は『風立ちぬ』を最後に長編映画製作から引退することが発表されました。

    ―飛行機は美しい夢。
    零戦の設計者、堀越二郎とイタリアの先輩ジャンニ・カプローニとの同じ志を持つ者の時空をこえた友情。いくたびもの挫折をこえて少年の日の夢にむかい力を尽すふたり。大正時代、田舎に育ったひとりの少年が飛行機の設計者になろうと決意する。美しい風のような飛行機を造りたいと夢見る。
    映画『風立ちぬ』の原作は、宮崎駿監督が月刊誌「モデルグラフィックス」に連載していた漫画『風立ちぬ 妄想カムバック』。零戦の設計者、実在の人物である堀越二郎の半生を描いています。この作品には『風立ちぬ』という題名をはじめ堀辰雄の小説『風立ちぬ』からの着想も盛り込まれている為、映画の宣伝ポスター等には「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」と記されています。
    また原作である『風立ちぬ 妄想カムバック』ではなんと!登場人物のほとんどが擬人化された「豚」として描かれています。これは同じく『紅の豚』の原案となった「モデルグラフィックス」に連載された漫画記事、宮崎駿の雑想ノート「飛行艇時代」と同様の手法ですね。ただしヒロインの菜穂子だけは、人間として描かれていました。菜穂子という名前は、おそらく堀辰雄最後の長編小説『菜穂子』から取られたものと思われますが、このあたり宮崎駿監督の特別な思い入れが感じられる気がしますね。
    児童文学を愛読し、「アニメーションは基本的に子供の物」と公言してきた宮崎駿監督。ところがこの“最後”の長編作品は「大人向け」に作られています。
    『風立ちぬ』の映画化は「スタジオジブリ」の鈴木敏夫プロデューサーの発案によるものでした。ところが当時、宮崎駿監督は「アニメーション映画は子供のためにつくるもの。大人のための映画はつくっちゃいけない。」と猛反対だったそうです。そこで鈴木プロデューサーは宮崎駿監督が普段は戦闘機や戦艦など戦争に関係するものが好きな一方で、でも思想的には戦争は良くないと思っているという矛盾を指摘し「その矛盾に対する自分の答えを、宮崎駿はそろそろ出すべきなんじゃないか。」と説得したそうです。この経緯を経て映画『風立ちぬ』の制作が始まります。
    そして宮崎駿監督は『風立ちぬ』制作にあたり、こう言っています。「リアルに、幻想的に、時にマンガに、全体には美しい映画をつくろうと思う。」

    ―生きねば。
    『風立ちぬ』のキャッチコピーは「生きねば。」でした。これは宮崎駿監督が描いた漫画版『風の谷のナウシカ』の最終巻である第7巻の最後のコマにでてくる言葉と同じものです。そして『生きねば。』という言葉は『風の谷のナウシカ』に限らず、宮崎駿監督作品すべてに言える普遍的なメッセージなのでしょう。『天空の城ラピュタ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』…ほか振り返ればすべての作品に通じる主題となっているのです。『風立ちぬ』の中では主人公の二郎は夢の中で出会う航空機設計技師の大先輩カプローニから何度かこう呼びかけられます。「力を尽くしているかね」と。
    また堀辰雄の小説『風立ちぬ』ではフランスの作家・詩人ポール・ヴァレリーの『海辺の墓地』の一節“Le vent se leve, il faut tenter de vivre”を「風立ちぬ、いざ生きめやも」と訳しています。これは「過去から吹いてきた風が今、ここに到達した、そして、そのとき、生きようとする覚悟と不安が生まれた、」ことを捉えている表現のようです。訳詩としては難解で諸説あるようですが、その言葉の響きはとても美しいものですね。

    ―飛行機の歴史は凶暴そのものである。それなのに、僕は飛行士達の話が好きだ。
    宮崎駿監督はフランスの作家、サン=テグジュペリの愛読者としても知られています。サン=テグジュペリといえば児童文学の傑作『星の王子さま』ですね。「大切なものは、目に見えない」をはじめとするこの作品が静かに語りかける言葉たち。それはさまざまな人生の重要な問題と向き合うものです。
    サン=テグジュペリは1921年に兵役として航空隊に入隊。その後は郵便輸送の為のパイロットとして欧州-南米間の飛行航路開拓などにも携わりました。彼はその経験を元に行動主義文学の傑作と言われる『人間の土地』『夜間飛行』などを発表。また『星の王子さま』着想の元になったと言われているのはサン=テグジュペリ自身が体験したリビア砂漠での飛行機墜落事故であり、その実体験は『人間の土地』の中でも語られています。その後、第2次大戦に招集され偵察機の搭乗員として困難な出撃を重ねます。そして1944年、サン=テグジュペリはコルシカ島の基地を単機で出撃したまま、地中海上空でついにその消息を絶ちます。
    宮崎駿監督はこのサン=テグジュペリの『人間の土地』(新潮文庫版/堀口大學訳)にあとがき「空のいけにえ」とカバー挿画を、そして『夜間飛行』(新潮文庫版/堀口大學訳)にはカバー挿画を描いています。そして『人間の土地』のあとがきとして書かれた宮崎駿監督の「空のいけにえ」では、サン=テグジュペリの残した言葉「世界は蟻の塚だ」になぞらえて自分のことを「蟻塚の時代の一匹の白蟻の妄想」として、次のように書いています。
    「飛行機の歴史は凶暴そのものである。それなのに、僕は飛行士達の話が好きだ。その理由を弁解がましく書くのはやめる。僕の中に凶暴なものがあるからだろう。日常だけでは窒息してしまう。」
    「人類が未だに空を飛べなくて、霧の峰が子どもたちの憧れのままだったとしたら、世界はどう違っていただろう。飛行機を作って手に入れたものと、なくしたものとどちらが大きいのだろうかとも考える。凶暴さは、僕等の属性のコントロール出来ない部分なのだろうか。」
    これは1998年に書かれたものです。そしてその約15年後に『風立ちぬ』が制作されました。『風立ちぬ』は宮崎駿監督による渾身の最新作であり、そして“最後”の長編作品です。

    関連アイテム

    松任谷由実 / 日本の恋と、ユーミンと。 (Rmt) 『風立ちぬ』主題歌「ひこうき雲」も収録。松任谷由実 40周年記念ベストアルバム。
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    アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ / 人間の土地 新潮文庫 改版 宮崎駿監督によるカバー挿画も美しい。あとがき「空のいけにえ」も収録。
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    アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ / 人間の土地 新潮文庫 改版 

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