イルムガルト・ゼーフリート・シリーズ第２弾

2014年11月5日 (水)

イルムガルト・ゼーフリート・シリーズ

マリア・テレジア・イルムガルト・ゼーフリートは、オーストリア人の両親のもと、1919年10月9日にバイエルンのケンゲトリートに誕生。アウクスブルクのレオポルト・モーツァルト音楽院とミュンヘンで学んだのち、カラヤンが音楽監督を務めていたアーヘン歌劇場でヴェルディ『アイーダ』の巫女役でデビュー。
　1943年にはウィーン国立歌劇場と契約、ベーム指揮する『マイスタージンガー』にエーファ役でデビューしますが、1944年にはリヒャルト・シュトラウスの要請で、ソプラノにも関わらず『ナクソス島のアリアドネ』の作曲家役で出演、後には『ばらの騎士』のオクタヴィアン役も歌っていました。
　以後、1976年まで30年以上の長きに渡ってウィーン国立歌劇場に所属、得意のモーツァルトやシュトラウスなどを中心に活躍する一方、ソロ歌手として世界各国の歌劇場や音楽祭にも出演、オペラだけでなく歌曲や宗教音楽、交響曲など幅広い分野で高い評価を獲得しました。
　その間、ドイツ・グラモフォンやHMV、DECCA、SONYなどでレコーディングにも取り組んで人気を博し、1953年にはモーツァルト・メダルを授与、ほどなくウィーンのヴァイオリニスト、ヴォルフガング・シュナイダーハンと結婚し、1957年にはのちに女優となるモナ・ゼーフリートを出産、公私ともに充実した生活を送り、1988年11月24日、69歳でウィーンで亡くなります。
　ゼーフリートが亡くなった時、親しかったシュヴァルツコップはこうコメントしています。
「彼女は心の底から歌う方法を知っていました。私たちが苦労して達成するものを彼女は既に持っていて、私はとても羨ましかったのです。」（ＨＭＶ）


シューベルト、シューマン、ベートーヴェン、コルネリウスの作品で構成されたドイツ歌曲集。シューベルトを中心としたコルネリウスの『クリスマスの歌』など、彼女自身が楽しんで歌ったというこれらの歌曲は、聴き手にとっても素晴らしい贈り物になることでしょう。内８曲は初CD化というのも嬉しいところです。（ユニバーサルＩＭＳ）

【収録情報】
1.　シューベルト：アヴェ・マリア D.839
2.　シューベルト：満月は丘の上に輝き（『ロザムンデ』より）
3.　シューベルト：至福 D.433
4.　シューベルト：吹き通うものの気配は D.720
5.　シューベルト：ああ、湿っぽいお前の羽ばたきが D.717
6.　シューベルト：野ばら D.257
7.　シューベルト：トゥーレの王 D.367
8.　シューベルト：ガニュメート D.544
9.　シューベルト：糸を紡ぐグレートヒェン D.118
10.　ベートーヴェン：寂しさの喜び
11.　コルネリウス：クリスマスの歌 Op.8
12.　シューマン： 女の愛と生涯 Op.42
13.　シューマン：メアリー・スチュアート女王の詩 Op.135

　イルムガルト・ゼーフリート（ソプラノ）
　エリック・ヴェルバ（ピアノ）

　録音時期：1952年9月（1）、1952年1月（2,3,11）、1957年10月（4-10,12）、 1962年2月（13）
　録音場所：ウィーン
　初CD化（4-10,13）

ゼーフリートの飾らない歌を楽しむには、シューベルトの一連の歌曲が最もふさわしいかもしれません。例えば『万霊節の日のための連梼』でのシンプルな繰り返しの中に潜む深い情念や、グレートヒェンの歌曲で見せるあどけない表情などにその非凡な才能が窺えます。初CD化が数多く含まれているのも嬉しいところです。（ユニバーサルＩＭＳ）

【収録情報】
シューベルト：
1.　春 D.882
2.　万霊節の日のための連梼 D.343
3.　水の上で歌う D.774
4.　アヴェ・マリア D.839
5.　愛は裏切った D.751
6.　漁師の歌 D.881
7.　若い尼 D.828
8.　ミニョンの歌 D.877-2/3/4
9.　君を知るや南の国 D.321
10.　子守歌 D.498
11.　至福 D.433
12.　笑いと涙 D.777
13.　若い尼 D.828
14.　ます D.550
15.　千変万化する恋人 D.558
16.　音楽に寄せて D.547
17.　トゥーレの王 D.637
18.　糸を紡ぐグレートヒェン D.118
19.　グレートヒェンの祈り D.564
20.　ゲーテの『ファウスト』の一場面 D.126

　イルムガルト・ゼーフリート（ソプラノ）
　エリック・ヴェルバ（ピアノ）

　録音時期：1958年5月30日,6月8日（1-16）、1962年2月5-8日（17-20）
　録音場所：ウィーン、ムジークフェライン・ブラームスザール
　初CD化（1-4,6,8-10,12,15,18-20）


彼女の良き伴奏者であったエリック・ヴェルパとの共演による、伸びやかなシューマンとブラームス。素直な表現と気取らない魅力に溢れた素晴らしいリサイタルが収録されています。共感あふれる清楚なシューマン、暖かなブラームス、そしてドイツ民謡での彼女の歌唱は、とてもさりげなくシンプルなものですが、これが曲調にぴったりあって素晴らしい効果をあげています。（ユニバーサルＩＭＳ）

【収録情報】
シューマン：
1.　はすの花 Op.25-7
2.　一人ぼっちの涙は何を望む Op.25-21
3.　君は花のよう Op.25-24
4.　哀れなペーター Op.53-3
5.　あなたの顔は Op.127-2
6.　はじめはほんとうに生きる気をなくして Op.24-8
7.　春の夜に霜が下りて
8.　彼女の墓の上に
9.　愛らしく、やさしいばらやミルテで Op.24-9

ブラームス：
10.　悲しみの娘 Op.7-5
11.　民謡（ツバメが飛んで行く） Op.7-4
12.　可愛い人
13.　姉さん、いつ家に帰るの?
14.　静かな夜に
15.　甲斐なきセレナーデ Op.84-4
16.　ぼくらは歩き回った Op.96-2
17.　訪わじといいし Op.32-2
18.　憩え、いとしい恋人 Op.33-9
19.　五月の夜 Op.43-2
20.　死は冷たい夜 Op.96-1
21.　暖かい空気の中で Op.57-8
22.　セレナード Op.106-1
23.　甲斐なきセレナーデ Op.84-4
24.　永遠の愛 Op.43-1

　イルムガルト・ゼーフリート（ソプラノ）
　エリック・ヴェルバ（ピアノ）

　録音時期：1956年4月（1-9）、1952年9月（10-15）、1958年6月（16-24）
　録音場所：ウィーン
　初CD化（7,8,14-16）


彼女の幅広いレパートリーの中でも、とりわけ親密な雰囲気を味わえるのが、このブラームスのワルツ『愛の歌』でしょう。1952年のエジンバラ・フェスティヴァルでは、キャスリーン・フェリアやユリウス・パツァークらと同じ曲を歌い絶賛を博しましたが、こちらはもう少し肩の力が抜けたスタジオ録音であり、いつもは渋い表情のブラームスもにっこりと笑っているかのような柔和な演奏となっています。また『ドイツ民謡集』のこなれた歌い口も魅力的です。（ユニバーサルＩＭＳ）

【収録情報】
ブラームス：
1.　ドイツ民謡集より11曲
2.　愛の歌 Op.52
3.　新・愛の歌 Op.65

　イルムガルト・ゼーフリート（ソプラノ）
　ライリ・コスティア（コントラルト：2,3）
　ヴァルデマール・クメント（テノール：2,3）
　エーベルハルト・ヴェヒター（バリトン：2,3）
　ギュンター・ヴァイセンボルン（ピアノ：2,3）
　エリック・ヴェルバ（ピアノ）

　録音時期：1962年2月（1）、9月（2,3）
　録音場所：ウィーン楽友協会
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）