世界的オルガニスト小糸恵によるバロック・オルガン独奏のためのコンチェルト集

2016年1月28日 (木)

世界的オルガニスト小糸恵によるバロック・オルガン独奏のためのコンチェルト集

世界の名匠と敬われる大オルガニスト、小糸恵のドイツ・ハルモニア・ムンディへの２枚目の録音です。小糸は京都に生まれ、スイス在住でローザンヌ音楽院の教授も務める世界的オルガニストです。数々の国際オルガンコンクールの審査員としても招待されており、1997年にはスイスのローザンヌにてバッハ音楽祭（バロック・アカデミー）を創立し、初年度から芸術監督として音楽文化の普及に広く寄与してきています。彼女はバロックから現代まで幅広いレパートリーを持っていますが（最初のころは作曲も行っていました）、とりわけバッハとバッハ以前の歴史的オルガン作品には定評があり、どの演奏も高い評価を得てきています。ここ数年はスイスのクラーヴェス・レーベルからバッハ名オルガン作品集やブクステフーデなど作品集をリリースしています。来日公演は少ないですが、最近では2013年と2015年に来日演奏を行っており、高い評価を得ました。
　今回のアルバムは、バッハが、ヴィヴァルディやマルチェッロ等のイタリアの音楽家らのヴァイオリン等の独奏楽器と弦楽のための協奏曲を、エルンスト王子の求めに応じて鍵盤楽器ソロ用に編曲したように、J.S.バッハによる編曲した２曲、バッハの従兄でもあったヨハン・ゴットフリート・ヴァルター[1684-1748]が編曲したものを中心に録音したものです。様々なバッハ文献に必ず書いてある「イタリア体験」では、バッハが23～32歳頃にこれらの編曲を通じてイタリア形式を習得したとされており、また編曲を通してバッハの作曲技法が確立されたとも伝えられています。エルンスト王子はヴァルターにもバッハと同様に依頼をしていたと考えられています。また小糸はヘンデルのチェンバロ・ソロの作品も同様に行って組曲風に仕上げたものも収録しています。イタリアやフランスの音楽を、バッハやヴァルターに伝えたのが、王子の留学先だったオランダのユトレヒトだということを考え、オランダの教会に残る歴史的オルガンを使用しています。（DHM）

【収録情報】
● ヘンデル／小糸恵編：オルガンのための組曲（コンチェルト）
● ヴァルター：協奏曲ロ短調 LV.133（ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲ホ短調 RV.275による）
● J.S.バッハ：協奏曲ト短調 BWV.985（テレマンのヴァイオリン協奏曲 TWV 51:g1による）
● J.S.バッハ：協奏曲ニ長調 BWV.972（ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲ニ長調 RV.230による）～第2楽章ラルゲット
● ヴァルター：協奏曲ヘ長調 LV.126（アルビノーニの協奏曲による）
● ヘンデル／小糸恵編：組曲第2番ヘ長調 HWV.427～第1楽章アダージョ
● ヴァルター：協奏曲イ短調 LV.140（トレッリの協奏曲による）
● ヴィヴァルディ／フランチェスコ・タシーニ編：ラルゴニ短調（ヴァイオリン協奏曲イ短調 RV.356の第2楽章）
● ヘンデル／ジョン・ウォルシュ編：オルガン協奏曲ヘ長調 HWV.293
● ヴァルター：協奏曲ハ短調 LV.136（テレマンの協奏曲 TWV.52による）

　小糸恵（1720年製シュニットガー・オルガン）

　録音時期：2015年7月
　録音場所：オランダ、フローニンゲン、デル・アー教会
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）