50年代ショルティによる迫力チャイコフスキー

2016年6月20日 (月)

チャイコフスキー:交響曲第5番、第2番、弦楽セレナード、ロシア管弦楽曲集
ショルティ&パリ音楽院管弦楽団、イスラエル・フィル、ベルリン・フィル

ショルティは1952年から1961年まで、新しい劇場で活動を再開したフランクフルト歌劇場で音楽監督を務めていましたが、すでにコンサートでも名を知られるようになっていたこともあり、在任中もコンサート指揮者として各国のオーケストラに客演、レコーディングもおこなうなど実績を重ねていました。
　この2枚組アルバムに収められた音源はすべて1950年代後半に録音されたもので、まだ40代だったショルティによる精力的でけっこう自由な指揮ぶりを楽しむことができます。特にチャイコフスキーの交響曲第5番は、激しい部分での緊迫した進行と、抒情的な部分でのフランスの管楽器の魅力が活かされた美しい響きのコントラストが印象的。ウクライナ民謡を3曲用いた交響曲第2番でもそうした傾向は共通です。
　イスラエル・フィルを指揮したチャイコフスキーの弦楽セレナーデは、快速テンポでバリバリ弾きまくる演奏。律儀な拍節感が小気味良いです。
　ベルリン・フィルを指揮したロシア管弦楽曲集も、同じく精力的な演奏で、オケがベルリン・フィルということで、さらにそうした傾向が助長されて迫力があります。（HMV）

【収録情報】
Disc1
1.　チャイコフスキー:交響曲第2番ハ短調 Op.17『小ロシア』
2.　チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調 Op.64

Disc2
3.　チャイコフスキー:弦楽セレナードハ長調 Op.48
4.　グリンカ:『ルスランとリュドミラ』序曲
5.　ムソルグスキー:『ホヴァンシチナ』より前奏曲『モスクワ河の夜明け』
6.　ムソルグスキー:『ホヴァンシチナ』より『ペルシャの女奴隷の踊り』
7.　ムソルグスキー/リムスキー=コルサコフ編:交響詩『禿山の一夜』
8.　ボロディン:『イーゴリ公』序曲

　パリ音楽院管弦楽団(1,2)
　イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団(3)
　ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(4-8)
　サー・ゲオルグ・ショルティ(指揮)

　録音時期:1956年5月(1,2)、1958年5月(3)、1959年6月(4-8)
　録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)