【映像】ミンコフスキ/ワーグナー『オランダ人』初稿版
2019年10月31日 (木) 11:00 - HMV&BOOKS online - クラシック
ワーグナーの初心、聴きなれた『オランダ人』とは一味違う初稿版をミンコフスキの渾身のタクトで!
ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネが書いた「神の罰によりこの世と煉獄の間をさまよい続けるオランダ人の幽霊船の伝説」を元に、ワーグナー自身が台本を書いた『さまよえるオランダ人』。通常上演されるのは1880年にワーグナー自身による改訂版で、ワーグナーが理想とした「純粋な愛による救済」を主要なモチーフとしています。
本映像は1841年のワーグナーがパリの上演を目論んで作曲した初稿版。そのモチーフも改訂版とは異なり最終的な「救済」が曖昧なまま投げ出されます。演出を担ったオリヴィエ・ピイは、自身も俳優として活躍する演劇畑出身の演出家で、作品にパリ時代の若き日のワーグナーの苦悩を読み込み、黙役サタンを狂言回しとしたユニークな舞台を作り上げました。ミンコフスキは手兵グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊を率いてパリ時代のワーグナーの初心に迫る厳しい響きを引き出し、ベテラン歌手サミュエル・ユン、北欧を代表するソプラノ、インゲラ・ブリンベリをはじめとした名歌手たちの熱唱が大輪の華を添えます。(輸入元情報)
【さまよえるオランダ人初期稿】
通常演奏される楽譜はワーグナーの死後に総合的にまとめられたもので、今日では正統性に問題があるとみなされています。初期稿にもいくつかあり、1841年稿は初演前の段階のもの。舞台はスコットランドで、ダーラントでなくドナルト(ドナルド)、エリックでなくゲオルク(ジョージ)と人名が異なります。またゼンタのバラードが本来あるべき調性で、現行のような奇妙に下げられたものではありません。オーケストレーションにも多くの相違が。もちろんハープを用いた取って付けたような救済の音楽はありません。もっとも首尾一貫しているのがこの1841年稿の特徴です。
【収録情報】
● ワーグナー:『さまよえるオランダ人』全曲 初稿版(1841年)
オランダ人…サミュエル・ユン(バス)
ゼンタ…インゲラ・ブリンベリ(ソプラノ)
ドナルド…ラルス・ヴォルト(バス)
ゲオルク…ベルナール・リヒター(テノール)
舵手…マヌエル・ギュンター(テノール)
メアリー…アン=ベス・ソルヴァング(メゾ・ソプラノ)
サタン…パヴェル・ストラーシル(黙役/ダンサー)
アルノルト・シェーンベルク合唱団
エルヴィン・オルトナー、オットカール・プロハズカ、ヨルディ・カザルス(合唱指揮)
グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊
マルク・ミンコフスキ(指揮)
演出:オリヴィエ・ピイ
装置:ピエール=アンドレ・ヴァイツ
照明:ベルトラン・キリー
収録時期:2015年11月22,24日
収録場所:オーストリア、アン・デア・ウィーン劇場(ライヴ)
映像ディレクター:フランソワ・ルシヨン
収録時間:136分
画面:カラー、16:9
字幕:ドイツ語(歌唱言語)、英語、フランス語、日本語、韓国語