ヤン・ミヒールス/バッハ(ブゾーニ編):シャコンヌ、12のコラール前奏曲より、他

2019年12月27日 (金) 17:00 - HMV&BOOKS online - クラシック

今こそ歴史的ピアノで向き合うべき「ブゾーニのバッハ」の素顔

現代ピアノを知らなかったバッハが書いた音楽は、18世紀に存在していたチェンバロやバロック楽器で弾いてこそ真の姿に近づける・・・20世紀に「古楽器演奏」という新たなムーヴメントが広まってゆく過程で、バッハの思い描いた作品像を大きく歪めたロマン派的解釈の象徴のように扱われるようになり、古楽器愛好者たちからは忌避されさえしたのが、20世紀初頭に活躍したフェルッチョ・ブゾーニ[1866-1924]によるバッハ作品の編曲版でした。
 しかし実際はブゾーニとて、私たち21世紀人たちから見れば100年前の音楽家です。弦楽器は羊腸弦がまだ主流で、リストやブラームスが生演奏するピアノを聴いていた世代の多くと時代をともにしたこのピアニスト=作曲家のバッハ観を、スタインウェイのピアノが極東の津々浦々まで普及した現代の「普通のピアノ感覚」と並列の認識でよいものでしょうか。マーラーやストラヴィンスキーの作品までピリオド楽器で演奏されるようになってきた今こそ、19世紀末当時の楽器と奏法でブゾーニのバッハ編曲のありようを問い直す意義は大きいと言えるでしょう。
 すでに歴史的ピアノでの録音も複数存在するドビュッシーやサティと同年代でもあるブゾーニ自身の作品も含めて演奏するのは、古楽大国ベルギーの名手ヤン・ミヒールス。『ドビュッシーのトンボー』でも絶賛を博した歴史的ピアノ奏者がくりだす丁寧な解釈が、作曲家自身と同世代のベヒシュタイン・ピアノでいや増しに輝きます。19世紀末のピアノの製作理念を取り入れ、ダニエル・バレンボイムの絶賛も受けたクリス・マーネの並行弦ピアノも適切な存在感をあらわす、21世紀ならではの新録音です。(輸入元情報)

【収録情報】
J.S.バッハ/ブゾーニ編:
1. シャコンヌ ニ短調
2. 12のコラール前奏曲より

● 来たれ、神なる創造主、聖なる霊 BWV.667
● 目を覚ましてあれ、と呼ぶ声が聴こえ BWV.645(140)
● 今ぞ来たれ、異邦人の救い主 BWV.659
● 来たりて集え、愛しき救世主に従う者たちよ BWV.734a
● われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ BWV.639
● 主なる神、今こそ天をお開きください BWV.617
● アダムの堕落により、人みな悪に染まりて BWV.637
● アダムの堕落により、人みな悪に染まりて BWV.705
● あなたにこそ喜びを見出します BWV.615
● イエス・キリスト、我らが救い BWV.665

ブゾーニ:
3. 対位法的ファンタジア (1910)


 ヤン・ミヒールス(ピアノ)
 使用楽器:
 ベヒシュタイン1860年製オリジナル(クリス・マーネ・コレクション):2
 クリス・マーネ2015年製作による並行弦ピアノ:1,3

 録音時期:2019年6月9,10日
 録音場所:ベルギー、ライセレーデ、マーネ音楽堂
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)