激ロック×HMV&BOOKS online vol.107

GENRE：POP ROCK, MIXTURE
BugLugがバンドの新境地を提示する2年ぶりのシングルを世に放つ
BugLugが2年ぶりに世に放つシングルは、バンドの新章の幕開けを告げるに相応しい1枚。ヴォーカル、楽器隊共に最初から最後まで全力で飛ばしていく曲が多かった彼らだが、表題曲「ひとりごと。」ではリリックを主役として聴かせるために、音数を極限まで絞り、情熱と冷静さのバランス、および緩急の表現を繊細にサウンドへ落とし込んでいる。また、一聖がコロナ禍での活動の中で募った感情をポエトリー・リーディング風に吐き出すなど、活動開始から12年を超えて初めての挑戦も。カップリングとして収録されている「MaMa」のシンプルさも実に潔いし、これまでもライヴで披露されてきた「ハラキリ」（※通常盤収録）も今作で初音源化。5人の今の想いが一貫して感じられる、象徴的な作品となった。
内堀 文佳 【ライター推薦】

GENRE：METALCORE
世界に羽ばたく東京発の剛腕メタルコア SABLE HILLS
メタル愛を胸に、ますます凶暴化に拍車をかけた2ndアルバム『DUALITY』
TAKUYA（Vo）、Rict（Gt）兄弟を中心に結成された東京発のメタルコア・バンドによる2ndアルバム。今作はTRIVIUM、UNEARTH、WHITECHAPELなどを手掛けたMark Lewisがプロデュースを担当。海外バンドに引けを取らない屈強なサウンドで、メンバーの言葉を借りれば“熱量マシマシ”の楽曲が勢揃い。アルバム単位では初めてライヴを意識したらしく、贅肉を削いだ即効性の高いリフや攻撃力を高めた演奏は迫力十分。そして、クリーン・トーンのギターを用いたインスト曲「Interlude」〜「The Eternal」の流れは白眉。特に後者はシャウト／クリーン・ヴォーカルを使い分け、合唱パートを設けた劇的な展開で聴く者を引き込む。全曲ライヴ仕様のエナジーに圧倒される1枚だ。
荒金 良介 【ライター推薦】

GENRE：JAZZ, METAL
国内インスト・シーンを変える新たな挑戦が詰まった10周年アニバーサリー・アルバム
相変わらずピアノ・インスト・バンドの既成概念を覆す新たなチャレンジが詰まった全10曲。特筆すべきは2曲のヴォーカル・ナンバー。曲ができたうえで“歌を入れたい。誰がハマるだろう？”とFEEDERのGrant Nicholas（Vo/Gt）にオファーし、彼がメロディと歌詞を作った「Happy Place」に溢れる素直な曲の良さ。FRONTIER BACKYARD参加で日常感が漂う日本語詞をTGMXが歌う「22時」も新鮮。表題曲はメタルのソリッドさ、ギターとピアノをラテン・リズムに乗せることでユニークなリズムのリフが誕生しているし、ライヴで盛り上がること必至なお囃子ノリのある「Syoi syoi」もキラーチューンになり得そう。ファンタジックな曲もバランス良く配され世界に旅ができる。
石角 友香 【ライター推薦】

GENRE：HEAVY METAL, HARD ROCK
次世代型ハイブリッド・ガールズ・ロック・バンド“Lonesome_Blue”始動
LOVEBITESの制作陣が携わる次世代型ハイブリッド・ガールズ・ロック・バンド“Lonesome_Blue”が始動。1st EP『First Utterance』を完成させた。本作は、声優として活動している野村麻衣子（Vo）と広瀬ゆうき（Ba）、ロック・ミュージシャンとして活躍している成美（Gt）とMIZUKI（Dr／真空ホロウ）という、異なる背景の4人が集まったバンドを象徴するように、ジャンルの幅が非常に広い仕上がりに。メタル、ハード・ロックの要素が色濃い楽曲のあとに四つ打ちロックが来たかと思えば、プログレッシヴな楽曲もありと、まるでEPがひとつのプレイリストかのように飽きの来ない構成で耳を楽しませてくれる。ライヴ映えしそうな楽曲も多く、今後のバンドの活動が楽しみだ。
宮�ｱ 大樹 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, MIXTURE
大阪発“裸繪札”が型破りなダンス・ミュージック鳴らす5年ぶりのアルバムをドロップ
大阪のアンダーグラウンドで 活動するマチコ（Vo）、TAKUMI（Gt）によるユニットがニュー・アルバムを発表。音楽的にはヒップホップ、ノイズ、テクノ、パンク、ハードコアなど多彩なジャンルを煮込み、不穏且つ猥雑なサウンドで強烈なインパクトを放っている。本作はループ音楽やダンス・ミュージックのテイストを強めており、キャッチーさはよりいっそうアップ。聴くたびに引き込まれる中毒性の高い楽曲が並んでいる。ライヴハウスやクラブで爆音で浴びたくなる作風であり、バンドからクラブ・ミュージック好きまで幅広いリスナーに刺さる、ボーダーレスな魅力もポイントだ。型にハマらない自由なマインドが楽曲から伝わってくる。SPARK!!SOUND!!SHOW!!、Paleduskなどが好きな人にはオススメしたい。
荒金 良介 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, MIXTURE
壁をブチ破れ。心を解き放て。オオカミたちの快進撃は止まらない
“長引くコロナ禍の影響を受ける音楽シーンや、応援してくれるファンのために早く作品を届けたい”という彼らのメッセージは、連作というボリューム感と、ポジティヴなリリックからも伝わってくる。不安な世の中でも希望を見いだし、純粋に音楽を楽しもう。パワフルだが温かみのある彼らの楽曲には、そんな人間臭い願望が詰まっている（究極生命体なのに！）。収録曲はバラエティに富んだ内容で、ハイテンションでスペーシーなダンス・ナンバーから、泣けるメロディで聴かせるナンバー、ヘヴィなロック・ナンバーまで、マンウィズらしいミクスチャー感満載。特に、布袋寅泰をフィーチャーしたTrack.9は、パンチの効いたスタジアム・ロックに仕上がっており、この夏を盛り上げてくれそうな楽曲だ。
山本 真由 【ライター推薦】

GENRE：HEAVY ROCK
壊れた世界をあとにして新世界へと踏み込んだMUCCの記念すべき1歩
新世界秩序なる単語が元来的な国際政治学用語の範疇を超え、陳腐な陰謀論と混同されるようになってしまった今。世界は混迷ぶりを晒すことになり、TL上にはフェイクとリアルが雑に混ぜ合わせられ氾濫し続けている。今作は結成25周年を飾るものであり、現体制初アルバムだが、まさに世界情勢が激変した時期に作られていたせいか、詞の面で考えさせられるところが多い。「いきとし」のED部分で聴ける“語り掛け”には思わずドキリとさせられてしまった。一方で90年代UKロックの香りが漂う逹瑯（Vo）作曲の「R&R Darling」、センスフルな仕上がりのYUKKE（Ba）作曲による「COLOR」、サポート・ドラマー Allenの名がミヤ（Gt）と共同クレジットされた「Paralysis」など各曲完成度も秀逸だ。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：HEAVY ROCK
暗澹たる濃密な音像で描き出される、死と生の狭間にある絶対的な物語
死は誰しもに訪れるものだが、そこまでの過程と末期の迎え方は、人により千差万別だと言えるだろう。「Schadenfreude」で始まり「カムイ」で終わる今作は、公式宣伝資料にある“通算11作品目にして最も重く暗い最新アルバム”との文言通り、全編が暗澹たる影を漂わせた音と言葉によってまとめあげられている。そして、前述の2曲はともに死の印象を纏っているのである。“PHALARIS”とは古代ギリシアのアクロポリスに神殿建設を委ねられた人物で、やがて君主へと成り上がっていった野望家にして、陰惨極まりない処刑器具、ファラリスの雄牛を作らせた人物としても悪名を馳せたのだという。人間の醜さ、生きることの残酷さ、やまぬ深い心の痛みを濃密且つ熟成した音像で描き出す彼らの手腕は、絶対的でしかない。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：PUNK ROCK
コロナ禍の人と人の距離感を音楽で埋める
モンパチ×WANIMAによる愛に溢れたスプリットEP
共演曲あり、お互いの提供曲あり、カバーありと2バンドががっぷり四つで組み合った5曲入りスプリットEPが到着。表題曲はMONGOL800とWANIMAが、コロナ禍で隔てられてしまった人と人の距離感を、音楽で埋めるべく作られた親密なるナンバーだ。両者のメロディの良さを際立たせながら、沖縄テイストも盛り込んだ賑やかな曲調。そして、MONGOL800提供曲「LAST PARADISE」はWANIMAが雄大な歌をテンポ良く聴かせ、WANIMA提供曲「てぃんがーら」では、MONGOL800がホーンなどを用いたアレンジを施し、どちらも新鮮な聴き心地を覚えた。ラスト2曲はお互いのカバーに挑戦しており、改めて両者のオリジナリティの輝きぶりを再確認する素晴らしさ。愛に溢れたEPだ。
荒金 良介 【ライター推薦】

GENRE：SKA, POP PUNK
切れ味とタイトに引き締まったバンド感を存分にアピールする
ライヴ・アンセム盛りだくさんのパワフルな1st EP完成
HEY-SMITHの猪狩秀平（Gt/Vo）をプロデューサーに迎えた前作発表後、ツアーなどを行う過程の中で、バンドの基礎体力はさらに鍛え上げられたのではないか。この4曲入り1st EPは、ライヴ感が一段と増し、切れ味とタイトに引き締まったバンド感を存分にアピールする内容に仕上がっている。全曲フロアにベクトルを絞ったエネルギッシュなパワーに満ち溢れているのだ。シンガロングやダンシングを誘発する楽曲群は、初めて現場で聴いたとしてもパーティーに巻き込める求心力を誇っている。表題曲はまさに会場をひとつに束ねるアンセム曲と言えるだろう。そして、THE BRIAN SETZER ORCHESTRAのカバー「Gettin' in the Mood」も、MAYSON'sカラーに見事染め上げている。
荒金 良介 【ライター推薦】

GENRE：HARD ROCK, ALTERNATIVE ROCK
“FFXIV”オフィシャル・バンド THE PRIMALSによる
ロック・ファンにも聴き応え十分な約2年ぶりの最新作
“ファイナルファンタジーXIV”でサウンド・ディレクターを務める祖堅正慶を中心とした同作オフィシャル・バンドの、CDとしては約2年ぶりの最新作となるミニ・アルバム。最新拡張パッケージ“暁月のフィナーレ”のサントラから人気曲をピックアップし、ダイナミックなサウンドスケープを描くTrack.1、ラウドな音像とライヴ映えするコーラスのTrack.2、オペラチックな女性Voを伴い叙情的な世界を描くTrack.3と、THE PRIMALSならではの骨太でアダルトなロック・サウンドへとアレンジした楽曲を収録。Track.4では束の間の安らぎを、柔らかで繊細なアコースティック一発撮りで表現している。“FF14”プレイヤーだけでなく、ロック・ファンにも聴き応え十分な1枚だ。
菅谷 透 【ライター推薦】

GENRE：METAL, LOUDROCK, METALCORE, MIXTURE
強力ナンバー満載でパーティーしたくなること間違いなし
Benji Webbe （SKINDRED）やHONE YOUR SENSE ら参加の5年ぶりのアルバム到着
UNDEAD CORPORATION 5年ぶりのフル・アルバムは、8曲＋ボーナス・トラック6曲＋無観客ライヴの映像を収めたDVDがひとつになった豪華盤。SKINDREDのBenji Webbe（Vo）を迎えた「Get It」や、同じくラテンの要素が色濃いアッパー・チューン「Blaze」は聴く人全員を踊らせ、それでももの足りない人には、CHELSEA GRIN／DARKO USのTom Barber（Vo）をフィーチャーしたブルータルな「The Chainsaw」、さらにHONE YOUR SENSEとのコラボ楽曲「Face the Fate」をぶつけてくる。エモーショナルな「Fragments」はシンガロング必須。パーティーしたくなること間違いなしの1枚に仕上がった。
内堀 文佳 【ライター推薦】