激ロック×HMV&BOOKS online vol.109

GENRE：LOUDROCK
バンドの軌跡をノンフィクションで綴り、前進の意志を託すニュー・シングル
身を削るとはこのことか。MVがYouTubeにて発表になった時点で、ファンだけでなく同業者バンドマンたちにまで衝撃を与えたことによりバズりまくったこの曲は、アルルカンがこれまで辿ってきた軌跡を楽曲化したものであると同時に、今後に向けた意思表明を託したものにもなっている。昨年のEP『世界の終わりと夜明け前 / サイレン』でも見事に解脱した感があったものの、ここでの彼らはさらなる覚醒モードへと突入。純度を高めて極限まで研ぎ澄ました言葉と、より確かなかたちで磨きをかけたバンド・サウンドをもって、アルルカンがもはや怖いものなしな様子で腹を括ったことが、今作からはよく伝わってくる。故にあとはもう邁進あるのみだ。曲の最後を締めくくるキー・フレーズが、とても眩しく美しい。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：ELECTRONICORE, LOUDROCK
メタル系スクリーミング・アイドル、Broken By The Scream
タフに、ドラマチックに進化する4人の姿が見える新体制初アルバムをドロップ
メイン・シンガーふたりとスクリーム・シンガーふたりで構成される、メタル系スクリーミング・アイドル BBTS。七々扇ツバキが加入した新体制でのアルバムが完成した。コロナ禍でツアーが中止になるなど、ライヴを基軸としてきたBBTSにとってはそのパワーを発揮できない時期もあったが、溜め込んだ力に加え表現の幅を広げる挑戦をアルバムにぶつけている。ハイとローのスクリーマーの攻撃性とポップな歌が生み出すギャップを爆裂なメタルコアに乗せる「感情クロスカウンター」に始まり、爽やかな「ココロ、晴レ晴レ」、ブラストビートとともにビートを生むスクリームが圧巻の「メラメラセニョリータ」、グループの軌跡を映した歌心ある「ボクらの未来」などタフに、ドラマチックに進化する4人の姿が見えるアルバムだ。
吉羽 さおり 【ライター推薦】

GENRE：MIXTURE, LOUDROCK
メンズ・アイドル・シーンの台風の目、BLVCKBERRYのベスト盤的シングル
シーンをめまぐるしい速度で駆け抜けながら最速で進化を続ける6人組メンズ・アイドルの2ndシングルは、彼らの新しい表情を引き出す「ジュブナイル」と、彼らの王道である「TOKYO DOPE」のダブル・リード。明希（シド／Ba）による提供楽曲「ジュブナイル」は重厚且つ繊細なサウンドスケープで、間違いなく彼らをネクスト・ステージに引き上げる1曲。対する「TOKYO DOPE」はラウドにジャズのコード進行を落とし込んだ、彼ららしいニュー・ミクスチャー・サウンドだ。さらにc/wにはライヴの定番である「Wake up CHARISMA!!」、「D.O.V」（B-TYPE）、唯一のバラード曲「白いわがまま」（A-TYPE）、メロコア・ファスト・ナンバー「僕らの未来図」（C-TYPE）も収録されており、彼らのベスト盤的シングルとなっている。
オザキケイト 【ライター推薦】

GENRE：SYMPHONIC DEATH METAL
哀愁歌謡ノスタルジック・メロディック・デス・メタルが大胆進化
クリーン・ヴォーカルやヴァイオリンをフィーチャーしスケール・アップした1st EP
至高のメロディを求め、活動を続けるZemethが、これまでのアルバム3部作とは違ったアプローチで挑む6曲入りEP。アルバムのようにまとまりを意識した作品ではないからこその自由度が感じられる作品だ。音楽性の軸であるコテコテのクサメロと、中毒性のあるリフはそのままに、ヴァイオリンのサウンドを大胆に取り入れるなど、スケール・アップしたアレンジとなっている。そして、今作の目玉でもある「狂愛LONELINESS」は、彼が10代のころに制作したボカロ曲（「狂愛ロンリネス」）のリメイクということで、女性ゲスト・ヴォーカルのnayutaが参加し、クリーン・ヴォーカルがメインとなったZemethとしては新鮮な楽曲。懐かしさもあるメロディック・デス・メタルに新たな可能性を示した意欲作だ。
山本 真由 【ライター推薦】

GENRE：ELECTRO
超刺激的でエモーショナルなエレクトロ・サウンドでフロアを席巻する
9DayzGlitchClubTokyoの現在のモードと決意が滾る1stミニ・アルバム
とにかく刺激的な音楽に飢えている人は、ぜひとも一度聴いてみてほしい！ 2020年12月に始動し、翌年8月に現体制の3人組になった9DayzGlitchClubTokyo。プロデューサー兼クリエイターのクマ（I hate your rules.／ひととなり／ex-リムキャット）が手掛けた楽曲は、フレンチコアを土台にしたハイパーなエレクトロ・サウンドとシャウトを轟かせるTrack.2や、ブラス・セクションが怪しい雰囲気を醸し出すスカ・ナンバーのTrack.5といったアッパーなものから、儚さの中にも強い決意を宿したエモ・ラップ風のTrack.6など、9Dayzというグループが進もうとしている道を提示した全6曲を収録。ここから彼女たちがどんな存在TRM-073 になっていくのか、ただただワクワクさせられる1枚。
山口 哲生 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
様々な音像やストーリーを表情豊かに描き出す
さらなる進化を遂げた2nd EP『TASTE'EM ALL』ここに完成
狂気さえ感じさせる、リード・チューン「if」での粘着性を持ったカオスな轟音ぶりと、偏執的な恋慕を描いた詞の秀逸さ。これはLETITOUT-lelia-にとっての新境地であると言って差し支えないかと思う。MINAHOとNARUMIが聴かせるツイン・ヴォーカル、KANAとMINAHOが聴かせるツイン・ギター、MOMOの響かせるベース・ラインも表情豊かだ。1st EP『L』の段階でも音楽性の幅はずいぶんと広いバンドだと感じていたものの、今作では2階級特進した印象で、より様々な音像やストーリーを描き出すことに成功している。敬愛するMETALLICAの『Kill 'Em All』とかけたというアルバム名もなかなか小粋であるうえ、最後は「Shine' Day」でさっぱり清々しく終わってみせるところも潔い。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, MIXTURE
幻想的なポップ・サウンドと
重厚なバンド・アンサンブルで描く壮大なバラード
デビュー17周年記念日に行われたライヴで披露された表題曲は、ひとつひとつの言葉の重みが感じられるバラード。人と人との繋がりの形が劇的に変わりつつある現代において、疲れた心を癒してくれるような温かみに満ちた楽曲だ。歌と言葉だけでグイグイ世界観に引き込んでいくパートから、壮大なバンド・アンサンブルで盛り上げていく展開が、非常に感動的。少ない音数でどっしりとしたサウンドを積み上げる説得力は、彼らの技術の確かさを示すものだろう。c/wの「BVCK」は違った雰囲気のグルーヴ感が際立っているが、こちらもしっとりとした優しいタッチの楽曲だ。ポップなデジタル・サウンドからバンド・サウンドに落とし込む粋な流れも、緩急があって聴きやすい。17年を経て積み上げてきた、バンドの深い音楽表現が味わえる。
山本 真由 【ライター推薦】

GENRE：METAL
壮大なスケールで描かれる、HAGANEの神髄が詰まった充実の1stフル・アルバム
深く潜行していてくように。今作は聴き始めから終わりへと近づいていくにつれ、音楽的にも物語としてもディープな色合いを増していくことになる。と同時に、暗号のごときアルバム・タイトルは“時代の移り変わり”を意味するそうで、懐かしき90年代から今作制作を本格的に開始した2021年まで、刻々と時代を進んでいく感覚を音で表現したというコンセプト性も興味深い。中でも、インスト曲を挟んでの劇的チューン「Sword Of Judgement」から始まる後半への畳み掛けは圧倒的で、純粋にフィクションとして描いた反面で現実とシンクロしてしまったという「ZERO」にて“母国”、“平和”、“戦血”といった言葉が歌われる頃には、これが彼女たちの1stアルバムであることに多くの聴き手は脅威を感じることだろう。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：ELECTRO, LOUDROCK
一貫して我が道をのらりくらりと進み続けるメトロノーム
約3年ぶりのアルバム『阿吽回廊』リリース
ほど良く脱力して聴ける不条理にしてシュール且つコミカルなメトロノームの世界は、いつにも増して適温に仕上がっており、すこぶる飄々とした心地よいヌルさはやはり天下一品。シャラク（Vo）作詞曲のセンスフルな「阿ッとして吽」のやたらと高い完成度といい、ピコピコキラキラな音と身も蓋もない歌詞が重なる様が秀逸な「万金丹」での“才能の無駄遣いぶり”といい、約3年ぶりのアルバムでも彼らは一貫して我が道をのらりくらりと進み続けている印象だ（褒め言葉）。フクスケ（Gt）のヘヴィなリフが映えている「失敗だ傑作だ」や、意外にもオールドスクールなギター・フレーズがスパイスとして絶妙に効いている「夢の始まり」も乙であるし、「シナスタジア」も大変味わい深い。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：EDM, POP ROCK, LOUDROCK
新たなスタートを切る武瑠、15年間の活動を総括するベスト・アルバム発表
SuGのヴォーカリストおよびクリエイティヴ・ディレクター、ソロ・プロジェクト 浮気者、そしてsleepyheadとしての15年間の活動を経て、このたび本名名義で次の章へ進むこととなった武瑠が、これまで作詞作曲を手掛けてきたすべての楽曲の中から18曲を厳選したベスト・アルバムをドロップした。SuG時代の楽曲は原曲の持ち味を残しながら、バンド・サウンドから今の彼を象徴するEDM的要素の色濃い音にリアレンジ。浮気者、sleepyheadとしてリリースされた楽曲と並べて聴くことで、15年間で洗練された部分、当時から変わらず芯として確立されている部分を改めて感じることができる。新たなスタートを切るにあたり、これから出会う人に向けた、彼の履歴書のような1枚に仕上がった。
内堀 文佳 【ライター推薦】

GENRE：MIXTURE ROCK
バンドとしてスタートを切った初期衝動を詰め込んだ1stアルバム『Genesis』
ヒーローや神がいるなら起きないはずのことばかり。2020年代に入ってからのアレやコレはひどすぎて、つい誰かなんとかしてくれよ！？ と思わずにはいられないが、結局そうした他人任せな意識こそがこの世の中をおかしくし続けてきたのだろうなぁ、と思ったり。自らヒーローと名乗る彼らが生み出す音楽は、極めて健全な姿勢で糾弾すべきものを糾弾し、混迷した時代を鼓舞するようなメッセージを有する隙がない新世代型ロックだが、Kurt Cobain（NIRVANA／Vo/Gt）以降世界を変えるほどの力を持ったロック・ヒーローが未だ誰も出てきていないことを思うと、その大任を彼らに託してみたくなるのは重荷すぎるだろうか……？ “世界をぶん殴れ”とブチ上げる尖った若気の至り感で思うまま世を引っ掻き回してほしい。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：PUNK ROCK
日本が世界に誇るメロディック・パンク職人、BOMB FACTORY
結成30周年記念した漢気溢れるアコースティック・アルバム到着
日本が世界に誇るメロディック・パンク職人、BOMB FACTORY。彼らが結成30周年を記念したアコースティック・アルバムをリリースした。収録曲は、30周年企画として、これまで毎月コツコツ配信され続けてきたものを中心に、アコースティック・アレンジをまとめたもの。ひと言で言うと、シブい！ “大人のロック”なんていう表現もあるが、漢気溢れる歌心は、シンプルな演奏になるほど味わいが出て、聴く者の心を揺さぶる。また、激しい曲や疾走感のある曲が、テンポを落として哀愁を帯びた新しい姿に生まれ変わっているので、新鮮に楽しむこともできる。付属のDVDには、ミュージック・ビデオが収録されているが、風格のある演奏スタイルがクールな映像になっていて、こちらもファンには非常に嬉しい内容だ。
山本 真由 【ライター推薦】