キリンジ インタビュー

2008年3月26日 (水)

無題ドキュメント
キリンジ インタビュー

inteview : KIRINJI(堀込泰行、 堀込高樹)
text : komori &hosaka(HMV)


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インタビュー【前編】

もちろんアルバムを出すだろうっていうのは思ってはいたんですが、
曲を一個ずつ出すときにはあんまり考えて無かったかな。
アルバム像っていうのも考えてなかった。



--- アルバムのお話の前に触れて置かなければいけないのがデジタルシングルの連続配信のことだと思うんですけど、そもそもなぜあのような形をとられたんですか?

堀込泰行(以下、泰行) 単純にとにかく配信でいっぱい出して気軽に手にとってもらえると思って。CD買うよりも、キリンジを知らない人にも気楽に聴いてもらえるかな、という事を考えての企画ですね。

--- 手軽に手に取れるということは、逆に下手するとデータとして聞き流されてしまいがちっていう考えもあると思うんですけど。

堀込高樹(以下、高樹) 確かに、データなので…、こう実体として無いのは寂しいというところはあると思うんですけど。
  ただ、ちょっと聴いて欲しい。試しに、“(キリンジって)どんな感じかな?”って聴いてくれる人にとって、1000円とか1500円出して1曲、というのと200円で多少音質の事はあっても1曲聴けるというのは、入り口としては有効なんじゃないかな? と思ってて、確かにパッケージっていうのは…。
  僕もパッケージの方が好きなんですけど。あれなんですよね、リリースするとなるとその2ヶ月か3ヶ月前に上がってなきゃいけないとか、ジャケも作んなきゃいけないとかあるんですよね。
  あと、(今まで)シングル2枚切って、その後にアルバムっていう流れもなんとなく出来つつあって。まぁそれにちょっと飽きてきてしまったというか。もうちょっと刺激的なリリースの方法が無いかな? と考えていましたね。ただ、配信で1曲出して数ヶ月空くってなると。わりとスルーされる傾向があって。“配信は正式なリリースではない”っていうのがどうしてもなんとなくあって。
  そうすると、やっぱりキリンジは活動してるんだ! ていうのをもっと伝えるためにはそのくらいやらないと(笑)、熱意が伝わらないっていうのはあるような気がするんですよね。シングルCDを毎月切るってなると結構大変ですけど。まあ、配信だと比較的その辺がやりやすいかなっていうのはありますよね。

--- じゃあ、楽曲の内容としても、いわゆる“冒険”をしやすいっていう部分も?

泰行 そうですね、確かにそれはあるとは思います。

高樹 今回のシングルっていうのはどれも比較的シングルで聴きやすい内容のものだったと思うんですけど。
  たしかにリリースしやすいから、冒険しやすいようではあるんですけど、そこでその実験っぽい事とかデモっぽい事とか、独り善がりなものを出してもお客さんは多分掴めないと思うし、やっぱり新しく聴いてもらうための入り口として、みたいなとこがあるから。
  そこはまぁやっぱり自分達の得意なところを出していったほうが楽しめるんじゃないか、という気がしてるんですよね。

--- あとキリンジのアレンジとかサウンドに対する姿勢を知ってるとスケジュール的な部分で、“7ヶ月連続で曲を出す”って単純にもの凄く大変だったんじゃないかと思ってしまうんですけど?

泰行 まあ2人ソングライターがいるので、月イチとは言え、“楽かな”とか思ってはいたんですけど実際やってみるとやっぱりどっちの曲であってもお互いが関わりあってくるので、大変でしたね。

高樹 バンドとかだと、“全体で録って、ボーカル入れて、必要なものを足して完成!”って感じだと思うんですけど、キリンジの場合だとリズム隊を録ってそれから自分達が歌入れて、ギター弾いて、もっかい見直して、上モノのアレンジして…、みたいな事で、工程が多いから、まあ大変といえば大変だったですけどね。とはいえ、自分達の曲なので、スケジュール的な事に関してはどうにかなったんですけど。
  ただその、“さぁはじめよう!”って言って曲作ってアレンジ、ミックスダウンして、って終わると精神的にちょっと緩みますよね? そして緩んだものをまた数週間後に締めていく、テンションがあがって行くっていうのを繰り返すのが、わりと大変だったよね?

泰行 うん。いわゆる“インターバル”っていうトレーニングをやってるような(笑)。1キロ走るんじゃなくて、100メートル全力で走るのを10回やるみたいな疲れ方をしてしまいましたね。だから、わりと慢性的にハイだったというか、そんなモードのまま1年過ぎちゃった感じですね。

--- 順番的にはアルバムリリースが前提にあっての連続配信ということだったんでしょうか?

泰行 もちろんアルバムを出すだろうっていうのは思ってはいたんですが、曲を一個ずつ出すときにはあんまり考えて無かったかな。アルバム像っていうのも考えてなかった。

高樹 いつアルバムっていうのは決まって無かったんですね。まずとりあえずシングル配信っていうことで。だから、“アルバムはこういうものにしよう”っていうのを話し合って、そこに向かっていくっていうよりは、シングルをまずいっぱい出してその後考えようっていう。
  だから全体的な印象としては、わりとシングル集的な感じだと思うんですよ。 アルバムの体裁を整えるための曲を用意したりとか、そういうことが無い分すっきりとスムーズな感じになってるかなとは思いますね。

泰行 うん。そうだね。アルバム用の曲を足す時も、シングルを書いているのと同じモードのままできたというか、他の曲もシングルっぽい要素があると思うんですよね。

--- なるほど。そんな流れの中で完成したこの『7-seven-』ですが、今回のこのアルバムタイトルっていうのは…。

泰行 えーっと、オリジナルアルバムとして7枚目っていう(笑)。一番短絡的なんですけど。なんかね、だんだんカッコイイんじゃないかっていう風に思ってきて。響きも良いし、縁起の良い言葉でもあるし。

高樹 キリンジは数字のタイトル多いよね。『47’45』とかね。僕らは曲単位でものを考えるほうなので「今回のアルバムはこういうコンセプト」とかって作った事はあまりないんですよ。なんか無理やりそこでお互い共通の認識を探って、それをタイトルとして掲げるよりも、数字とかのほうが衒いが無くて良いかなっていうのは思ったりしてます。

--- コンセプトっていうのは毎回考えられていないんですか? 前作とか…。

高樹 いや、前作はさすがにあったと思うんですけれども(笑)。今まで自分たちがやったことのないものにしようっていうのは。ただ、基本的には曲があって、そこからの発想っていうのがあります。


続く…

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キリンジ / 7-seven-

 CD  7-seven-

 Profile

堀込泰行(Vo/Gt)
堀込高樹(Gt/Vo)

1996年に実の兄弟である堀込泰行(Vo/Gt)、堀込高樹(Gt/Vo)により結成。幅広い音楽要素とスウィートなメロディーを日本語のポップスとして高く昇華させた楽曲でリスナーの支持を得る。また、そのユニークな歌詞世界やサウンドプロダクションの緻密さから同業ミュージシャンにも彼らをリスペクトする声は絶えない。