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日本のシンガーソングライター特集ストア

2009年7月22日 (水)

図書館


図書館
『図書館の新世界』 / 図書館
図書館。素敵なバンド名の素敵なアルバムが届きました。僕は図書館ってまさに上記の写真のようなイメージを持っています。窓からそそぐ優しい木漏れ日。数人の仲間との勉強。ときどきおしゃべり・・・それに、図書館を中心に1冊の本が、知ってる人/知らない人、多くの人の手に回っていく感じもなんかいいですよね。図書カードから色々想像出来て、本のストーリーとは別の物語が生まれたりして。そんな、優しくて暖かくて、ちょっとアナログなCDなんです。「図書館の新世界」。豊かな声を持つシンガー・ソングライター田中亜矢。栗コーダーカルテットの活動を中心に、米アカデミー賞受賞「つみきのいえ」の音楽も担当した近藤研二。多くのユニットに参加、国内外で活動を続ける音楽家イトケン。2枚のソロアルバムが多方面で年間ベストに選ばれたシンガー・ソングライター宮崎貴士。この4人が揃って生まれる1つのポップスの「新世界」。新しい音楽がここに始まります。

メンバーの思い入れの1冊!そして思い入れの1曲

田中亜矢 Aya Tanaka (Vo)

 田中亜矢 Aya Tanaka (Vo)
シンガー・ソングライター。2000年から曲作りを始め、同年冬に自宅録音したデモテープをCD化したミニ・アルバム『Sail』(OZ DISC)でデビュー。’03年、オガワシンイチ(sugar plant)、清水恒輔(mama!milk etc.)、宮崎貴士らを迎えた2ndアルバム『朝』(SAL DISC)をリリース。他、いくつかのコンピレーションcdに参加。その凛とした歌声の素晴らしさゆえか、世代を超えたファン層を持つ。現在もソロ活動中。

 http://www007.upp.so-net.ne.jp/ayatanaka/
 http://www.myspace.com/ayatanaka
植村直己と山で一泊
[田中亜矢/思い入れの1册]
『植村直己と山で一泊』

植村直己が書いた冒険記はどれも面白くて大好きなんですが、これは、雑誌の編集部が彼と一緒に山でキャンプをしながらロングインタビューした本。口ベタで人は苦手という植村直己が、水を得た魚のように生き生きと過ごしながら話をしていて、ぐいぐい引き込まれてしまいます。面白いのは、本来もてなされる立場の彼が、車の中で遠足に行く小学生のようにはしゃぎながら自分の水筒の紅茶をふるまったり、気づかないうちに川で魚をさばいてきたり、誰よりも早く起きて散歩もすませて「俺が朝メシつくっておきますから」と言ってみたり、いろんな場面で顔を出すその人となり。そして、食べること、着ることなど、生きるための基本的なことについての考え方や体験談には、ハッとさせられることばかりです。
Donovan
[田中亜矢/思い入れの1曲]
『Voyage of the Moon』 Donovan

大学時代、まだ人前で歌いはじめたばかりのころ、歌についてあーだ こーだ悩んでいた時期に、「これ歌ってみたら?」と手渡されたのがこの曲(をメアリー・ホプキンが歌ったバージョン)でした。聴いたときに、とても衝撃をうけたのを覚えています。ボーカルとアコースティックギターの素朴であたたかな質感と、シンプルに繰り返されるメロディが、自分の根っこの部分にすごく近いというか、それまでに聴いたどんな曲よりもすーっと体に入ってきて、ああ、こういう歌ならば歌えるかもしれない、と思いました。この曲との出会いが今こうやって歌っている自分のはじまりだったような気がします。以来もう10年以上もこの曲を歌いつづけていますが、いまだに何回歌っても飽きることのない、大好きな曲です。

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近藤研二 Kenji Kondo (Ag,etc)

 近藤研二 Kenji Kondo (Ag,etc)
作編曲家、演奏家。ギター、ウクレレを中心に、弦楽器奏者として様々なアーティストと共演、スタジオワークをメインに活動する一方、作編曲家として、映画、TV番組、ウェブアニメーション等、数多くの音楽を手がけている。最近の主な仕事は、『つみきのいえ』『或る旅人の日記』ほか加藤久仁生作品、『ウクレレ・モーツァルト』『ウクレレジブリの森』『てれび絵本』、栗コーダーカルテット、大島保克、WATTS TOWERS、EXPO、など。

 http://www.ka-ko.net/aakk/
サイモン&ガーファンクル
[近藤研二/思い入れの1曲]
『スカボロー・フェア』 サイモン&ガーファンクル

7月10日、東京ドームにサイモン&ガーファンクルを観に行った。生で観るのは初めてだったが、やあ、素晴らしかった。二人とももう60歳代後半らしいが、全く年齢を感じさせない見事なパフォーマンス。アート・ガーファンクルの声はあのシルクのような倍音を失っていないし、ポール・サイモンの歌は老いてますますグルーブ感を増しているようにも思えた。とくに「明日に架ける橋」の2コーラス目はとてもソウルフルでこの日の白眉だったように思う。それとやっぱり「スカボロー・フェア」かな。間奏のチェロもよかったし、なんといってもあの美しいコーラスワーク。数万人のオーディエンスが息をのみ、この世ではないどこか別の場所へ連れて行かれたようだ。ショーは二人のソロコーナーや2度のアンコールを含み全体で2時間強。改めて音楽は時空を超えるものだと悟った。図書館の音楽もこれから聴いてくれる人たちの心の書庫にずっと置いてもらえるようなものになればいいなあ。

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イトケン Itoken (Drums,etc)

 イトケン Itoken (Drums,etc)
ドラマー、偽マルチ楽器演奏家。Harpy、zuppa di pesceなどリーダーバンドを率いるかたわら栗コーダーポップスオーケストラ、gnu、d.v.d、知久JONイトROMなど様々なユニットに参加。またそのかたわらで玩具楽器やガラクタを用いたソロを展開。今までにソロアルバムを3枚リリース。様々なコンピレーションにも参加している。また即興で玩具音を重ねていくスタイルでのライブも行っている。Frank Pahl、Klimperei、Ferdinand Richardなどの海外のアーチストとも活動中である。

 http://www.itoken-web.com
 http://www.myspace.com/harpyitoken
FRED FRITH
[イトケン/思い入れの1曲]
『SPRING ANY DAY NOW』 FRED FRITH

FRED FRITHのソロアルバム「Gravity」に収録された1曲。SAMLA MAMMAS MANNAのメンバーとAKSAK MABOULのMARC HOLLANDERをバックにしたがえ録音された楽曲。私イトケンソロの理想型とも言うべき、緊張と脱力が混在した素晴らしい曲。ボサノバのようなドラムパターンに牧歌的なメロディが変拍子で絡まり、キメではまた複雑な拍子になったり、大げさな管楽器のキメがあったりと仕掛けも豊富で罠だらけ。一度罠にはまるとどこが頭か分からなくなってるうちに、急にAメロに戻ったり。こんな奇妙でステキで暖かい楽曲は他には無いです!

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宮崎貴士 Takashi Miyazaki (Pf,Cho,etc)

 宮崎貴士 Takashi Miyazaki (Pf,Cho,etc)
作編曲家、シンガーソングライター。2002年、ファーストソロアルバム『少太陽』(out one disc)をリリース。2005年、セカンドソロ『ASTAIRE』(out one disc)リリース。両アルバム共に様々な雑誌、批評家に各年度ベストアルバムに選出。他、様々なバンド参加、アニメーション音楽やイベント音楽など多数制作。

 http://www009.upp.so-net.ne.jp/miyazaki/
THE BEATLE’S SOUND
[宮崎貴士/思い入れの1册]
『THE BEATLE’S SOUND』

CBSソニー出版から 昭和63年頃に出版された本でして今では絶版、ただし、ネットオークションや古書店では時折見かけます。とにかく我が音楽人生でこれほど実用的に役にたった本はなかったです。ビートルズの音楽に対し、作曲編(コード論ふくめ)演奏編(全楽器について、奏法含め)、編曲編などなど4人の音楽的特性の分類から楽譜、タブ譜の抜粋、そしてアルバム解説(YMO他、素晴らしき人選での)まで、「ポールはブラックバードをどう弾いているの?」「ジョンとポールの曲の違いは?」「リンゴのドラムがなぜ気持いいの?」などなど、ビートルズを契機に、音楽の快楽、その理由と技術を知りたい、というファンの疑問に対し、入門編的内容が、結果深みに達するという「理想的な音楽書」であった、と今でも思っております。写真もかなり充実してますしね。ビートルズに関する書は多いのですが、作る側の視点で以前以後、類する、この本ほどに適格な書はない、と思ってます。「ビートルズの快楽、その音楽的理由を知りたい」、そんな方にはお薦めいたします、古書としてですが。
オリビア・ニュートン・ジョン
[宮崎貴士/思い入れの1曲]
『たそがれの恋』 オリビア・ニュートン・ジョン

「はじめてDLした曲」「はじめてレンタルしたCD」ではなく、思い入れの1曲となると自分の場合、「はじめて自分のお小遣いで買ったシングルレコード」。小学生の時に初めて買ったのが、オリビア・ニュートン・ジョン「たそがれの恋」原題(Don't Stop Believin')、当時は「何度聞いてもいいなあ〜」って珈琲牛乳飲みながら思っていた程度ですが、音楽を作る側になった今の耳で聞いてみると、オリビアの楽曲をほとんど手掛ける作詞、作曲 / ジョン・ファラーの才能に驚愕します。普遍的とも思えるポップメロディと転調の妙、曲のイントロとエンディグのバリエーション、アコースティクギターを中心にしたアレンジ、それを補完するストリングスの編曲、以後最大の影響を受けるポール・マッカートニ−をポップという点では超えている、とさえ思う曲達です。それが「最初に買ったレコード」で、その印象が「そのような音楽を作りたい」という動機づけになり女性ヴォ−カルバンドとして今回の「図書館」で実現したのでしょうか?知識なき時代の選択と刷り込みって偉大ですね。