「一度だけ完全試合を観たことがある。」バイヤー寺町 今月はモッキー、ケイシー・ヨハンシングを推薦

2017年08月01日 (火) 10:00

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HMV&BOOKS online - ロック


HMV渋谷をはじめ計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当する寺町知秀が洋楽の森からオススメ作品をピックアップするコーナー「わくわくPOPSランド」。社内外から信頼を集める生粋の洋楽バイヤーが今月紹介する良質ポップスとは?

【第15回】一度だけ完全試合を観たことがある。


稀代のマルチ・インストゥルメンタリスト=モッキー。野球で例えるなら、キャッチャー(ドラム)からマウンド(歌)に登ったと思えば、ショート(キーボード)、サード(ギター)、セカンド(ベース)、ファースト(パーカッション)と内野はどこでも守れ、さらに外野(フルートetc.)もオケみたいな、万能の人。天秤座ならではの卓越したバランス感覚の持ち主で、うっすら変態性も兼ね備えていて、ステージでは客席からファンを呼んで一緒にダンスしたり、ユーモアを交えた自由度の高いパフォーマンス(イチローばりの背面キャッチ)であっと驚かせる。

新作『ハウ・トゥ・ヒット・ホワット・アンド・ハウ・ハード』でも、これぞモッキー印なファニー・ミニマル・ファンク、ミルトン・ナシメントらミナス一派の風情漂うメランコリック・バラッド、ニア・アンドリューズのバック・コーラスが映えるサマー・ブリージンなバレアリック・ナンバーをはじめ、七色の変化球で変幻自在な楽曲を投げ込んできますが、それが生きるのもストレート(メロディ)が冴えてこそ。そう、普遍的なメロディセンスが抜群にエエんです。今作も個人的に敬愛するレーベル windbell からのリリースで、ライナーノーツは関西の名門草野球チーム、逆瀬川ポセイドンズの監督を務める安田謙一氏と、内容良し、レーベル良し、ライナー良しと、三拍子揃ったパーフェクトなアルバム。



今月のもう一枚は、西海岸はサンフランシスコを拠点に活動するケイシー・ヨハンシングの新作『ザ・ハイディング』を。ノスタルジックでクラシカルな雰囲気が漂う、70'sシンガー・ソングライター/ソフト・ロックの名盤然としたジャケットからして聴く前から胸が高まりますが、エディ・リーダーを思わせる洒落た気品のある歌声、ごくごくシンプルな各楽器のアレンジと、もう冒頭から惹きつけられます。70年代ロックのヴァイブスを漂わせつつも今の空気感とばっちりシンクロしていて、ちょっぴりスペイシー&アシッド、ちょっぴりビター&スウィートに、控え目な塩梅で彩られた楽曲が夏の夕暮れのそよ風のように心地良い。渚でぼんやり聴きたい、そんなささやかな喜びに満ちた作品。

それではまた来月お会いしましょう。


How To Hit What And How Hard

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Mocky

価格(税込) : ¥2,444

会員価格(税込) : ¥2,078

発売日: 2017年07月21日

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発売日: 2017年08月02日

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寺町知秀(てらまち ともひで)

1999年にHMV渋谷入社。HMV立川など7店舗で店長を務め、計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当。

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