「娘よ。」今月の洋楽の森からオススメする必聴の5枚とは?

2018年03月06日 (火) 16:37

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HMV渋谷をはじめ計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当する寺町知秀が洋楽の森からオススメ作品をピックアップするコーナー「わくわくPOPSランド」。社内外から信頼を集める生粋の洋楽バイヤーが、今月の洋楽の森からオススメする必聴の5枚とは?

【第21回】娘よ。


春近いっすね。今月は2世タレントが続きまして、まずはセックス・ピストルズのドラマー、カレクックもといポール・クックの娘にして、ザ・スリッツのラストメンバーでもあったホリー・クックのニュー・アルバムから。自ら "トロピカル・ポップ" と呼ぶように、モダンUKラヴァーズの歌姫の枠を軽やかに飛び越えた、ニュー・ウェーヴ〜オルタナ・レゲエ感マシマシな楽曲が並んでいます。そこはプロデューサー、YOUTH(exキリング・ジョーク)のエエ仕事。

続いてフィービー・ケイツの娘(名作『初体験リッチモンドハイ』他出演)、グレタ・クラインによるソロ・プロジェクト、フランキー・コスモスの新作。ちょうど冬から春に向かうこの時期に聴きたい、少しづつ気分がフワッと上がってくるようなささやかな高揚感が詰まっています。

ステレオラブのバンマス、ティム・ゲイン率いるキャヴァーン・オヴ・アンチマター2作目は、ノイ!やハルモニアら偉大なセンパイのオマージュたっぷりにモジュラーシンセを軸に繰り広げる、ブリブリなアシッド・セッション模様。

ヨ・ラ・テンゴ15作目のタイトルは暴動(『There’s A Riot Going On』)。そう、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのかのアルバムタイトルを冠しています。淡いサイケデリック・ムードのもと、穏やかにウネリながらも、暗黒の時代も夢見ることを忘れたらアカンやん的な裏メッセージを読み取ることができます。

ラストは、40年近くニューヨーク・アンダーグランドに鎮座し続ける孤高のレーベル、アメリカン・クラーヴェのオーナーであるキップ・ハンラハン、久々の新作。リズムの入れ方とか微妙な変化を感じる曲もあるものの、いつもながらの硬質なハードコア・ラテン・ミュージックを展開。今回の制作意図であろうジャケットに注目。

それではまた来月お会いしましょう。






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寺町知秀(てらまち ともひで)

1999年にHMV渋谷入社。HMV立川など7店舗で店長を務め、計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当。

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