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細川俊夫 (1955-)

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商品ユーザーレビュー

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  • 当シリーズ第4弾。待望の「渦」を含む美しい一枚に仕...

    投稿日:2024/07/30

    当シリーズ第4弾。待望の「渦」を含む美しい一枚に仕上がった。「渦」は2019年サントリーホールでの世界初演(望月京との個展。2人のどの作品もすばらしかった)で耳にして、今までにないような細川の勢いを感じたのを思い出させてくれる。その次の年からコロナ禍の渦に巻き込まれて世界はとんでもない方にいってしまったが、それでも新譜として発表される時期になったのは喜ばしいかぎりだ。改めて聴いてもいつもの細川の語法でありながら、より深みを増した「音響のうねり」とその果てにみられる彼岸のような美しい静けさ。 「ゲネシス(2020)」に聴けるヴァイオリンとオケによる「生のドラマ」も聴きごたえがある。彼の協奏曲によくみられる「個の楽器」「オーケストラ」で描かれる「見立て」の楽想や「自然への畏敬」はここでも健在。 最近初演されたもう一つのヴァイオリン協奏曲の録音もぜひ期待したいし、2025年上演予定の新作オペラ「ナターシャ」も収録してほしいものだ。今後も細川俊夫の作品をじっくり追いかけてその響きに身を浸してみたい。他の盤のレビューでも述べさせてもらっていることだが、現代音楽と肩ひじ張らずに聴いてみてほしい。少なくとも私は現代音楽としてより精神世界の体験として、閑けさを心に取り戻す材料として彼の音楽に親しんでいる。そんな聴き方でもお薦めしたい。

    うーつん さん

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  •    細川俊夫の新譜は「庭gaeden」に題をとった作品...

    投稿日:2019/11/20

       細川俊夫の新譜は「庭gaeden」に題をとった作品集。いつもの細川節で強さと深さ、そしてしなやかさを併せ持った音楽が終始している。庭にちなんだ曲が多くあるのは知っているがこうしてまとめて一枚に収まっているのは初めてではないだろうか。 そしてこのディスクを聴いていてふと思い出したのは、武満徹も庭に題をとった曲を多く書いていたなあ、ということ。両氏の間では少なからず交流があったと記憶しているが、「庭」についての話がでたことはあるのだろうか?    武満徹の庭に関した曲への私の印象は絵画的・文学的であること。色彩感があり、雨や空気の湿り気のような感覚も感じられる面白さが好きである。 対して細川俊夫の本作で感じるのは能舞台。そこで演じられるのは水墨画のような色合いで秋の寒さを感じるような舞い。両氏の著作や対談集を読んで、二人とも日本らしさを意識的に表現するタイプでないと解釈している。「日本らしさ」をあからさまに出してきたり海外受けするために日本を「ダシ」に使うことを戒めている二人だが、それでもその根本には日本の文化や歴史思想が離れ難くついている気がする。    両者の庭の曲を聴いて私がイメージするのは日本の庭園であり、その空気。バラの花がかぐわしい西洋の庭ではない。バックボーンとして古来からの日本文化や芸術思想、精神構造が本人の意思に関わらず出るのであろう。その表出の方向は異なるとしても。   だからこそ世界中でTakemitsu・Hosokawaが「日本出身の、独自の作風(声)を持つ作曲家」として聴かれるのだと思う。特に(テレビで面白おかしくやる類の)日本自慢をする気はないが、その文化に尊敬の念とプライドを持つべきであろう。その意味で当盤は、作曲者である細川俊夫、そして武満徹の二人の関係や役割、作品思想について考えるよいきっかけになった。       

    うーつん さん

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  •  我々日本人にとって、自然の牙が剥き出しになって襲...

    投稿日:2018/09/12

     我々日本人にとって、自然の牙が剥き出しになって襲い掛かった2011年3月11日は忘れることができない「分岐点」となることであろう。 「体験」が「記憶」になることが将来的に何をもたらすのかまだ判らないが、音楽を通してその痛みや喪失、そしてそこから立ち上がる再生を考えるのも一つの方法と思う。   このディスクに収録された曲はすべて軽い気持では聴けないものばかり。ただ、それでも聴かずにはいられない。そして、あの震災に、自然の驚異に想いを馳せずにはいられない。   音楽の語法は細川俊夫らしいものであるが、そのパレットに描かれた風景の激しさといったら…。 氏の既存の作品とは一線を画す、圧倒的に痛烈な自然の凶暴さをそのままに表現していく。対して小さな存在である人間は、か細い声でしかその存在を表現できない。   「嘆き(2013 ver.2015)」はディスク化を切望していたものだけに真っ先に聴いたが、他の曲も聴くうちに「4曲全体でひとつの作品」と思えるようになった。先の震災をテーマにしてはいるが、もっと根本では「自然への畏れ」でつながっているからだ。   ライナーノートからの引用を行わせてもらうが、「嘆き」の曲冒頭に歌われるこの一節をご覧いただければこのディスクのメッセージが少しでもご理解いただけると思う。   『・・・最近、恐ろしい出来事があり、私はもはやその影から逃れることができない。敬愛する友よ、私の人生はわずか数日の間に筆舌に尽くしがたいほど無残に壊された。そして痛みをも拒む無言の苦悩だけが残っている・・・ 』 (ゲオルく・フォン・トラークルが友人に宛てて書いた手紙の一節、当盤解説ノートより)

    うーつん さん

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