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バッハ(1685-1750)

CD 『ヨハネ受難曲』第4版 ユングヘーネル&カントゥス・ケルン(2CD)

『ヨハネ受難曲』第4版 ユングヘーネル&カントゥス・ケルン(2CD)

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    mimi  |  兵庫県  |  不明  |  2011年12月22日

    「ヨハネ受難曲」という曲は、従来、超越的・理知的・劇的と言われる事が多かったと思います。もちろんこれは4福音書中、疑いなく最も特異で最も思弁的なヨハネ福音書の性格に拠る所が大きく、J.S.Bachの作曲もそのように行われている訳ですが、情緒的・感情的で慈愛に満ちたとされるマタイに比較して、従来のヨハネ受難曲の演奏も、威厳に満ちた劇的で崇高な性格のものが多かったのではないでしょうか。古のKarl Richterの名盤でも、ヨハネの激しさ・神々しさは群を抜いていますし、E.JochumやM.Corbozなどの大指揮者の名盤も、あまりの激しさに時に気疲れする程でした。ヨハネの名演を聴き尽くした訳でもないのに、えらそうに断言はできないのですが、Junghanel/Cantus Collnの最新盤は、その点が全く異なるように思います。突拍子もない連想ですが、まるで聖母マリアの眼差しで語られた受難曲とでもいうべきでしょうか。とにかくこれほどに優しく、常に慈愛に満ちた、まるでもう一つのマタイのようなヨハネ受難曲には初めて接します。声楽が8人でOVPPであるのはもちろん、器楽も小編成ですが、隅々にいたるまでー激しい群衆合唱も含めてー常に演奏者の、イエス・キリストに対する思いと涙が感じられ、決して遅い演奏ではないのですが、全曲が本当に慈しむように美しく奏でられます。OVPPの演奏の質としては、群衆合唱、審問の部分なども含め、決して現代最高の技術と言い難い面もみられますし、またEvangelistのHans Jorg Mammelも経験豊富で安定した歌唱ながらいま一歩の崇高さを求めたい気がしないでもないですが、Junghanel率いる演奏者全員の、この異様なまでの心の篭りようの前では、不満を言う気にもなりません。挽歌のRuht whol〜終曲Ach, Herrにかけての部分は、最上のマタイ受難曲の名演以外で、こんなにも人間に対する慈愛を放射する音楽にはめったに出会う事はなく、慣れ親しんだヨハネにも関わらず、涙無しに聴き終える事ができませんでした。Junghanel/Cantus Collnの最も素晴らしい部分が出た演奏ではないでしょうか。これまでにない、素晴らしいヨハネ受難曲の演奏として、多くの方に聴いていただきたいと思います。

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