ショパン (1810-1849)

CD 24の前奏曲 ポゴレリチ

24の前奏曲 ポゴレリチ

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  • ★★★★☆ 

    織工  |  東京都  |  不明  |  2015年11月21日

     イーヴォ・ポゴレリチによるショパン「24の前奏曲」、1989年10月のハンブルクでの録音。かつて若き異端児といわれた彼も還暦に近い年代。坊主頭で来日しショパン・ライヴもかつて評判だったので身近に感じられるようになったかも知れないが、この1枚での姿はなかなかの剛の者である。  ポゴレリチはデビュー当時、音の強弱を譜面外に(逆に)弾くという点で話題になったようだが、むしろテンポの自由さにこそ特色があるように感じる。耳を澄ますと強靭な左手の動きが想像できる。その一方、右手からいくらでも湧き出て零れ落ちるような叙情性がある。そのアンバランスさが言葉での解析を難しくするが、24曲の目くるめく、スリリングな体験は感性に直接訴えなんとも爽快、スカッと心地よい。

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  • ★★★★★ 

    モデラート宮内  |  千葉県  |  不明  |  2013年04月19日

    現代の優れたピアニストの中には、自身の演奏哲学を明確にすることで、 独自の音楽的個性を提示することに重きを置く奏者がいる。 たとえば、その代表格はグレン・グールドである。 カツァリスやアファナシエフもそれに属するピアニストといえるかもしれない。 そして、このポゴレリチもその一派に属しているといえよう。 彼らの演奏の特徴は、極めて知的であるということ。 しかし、創出する音の重なりや響きの演出、テンポの設定に重点を置くために、 他の演奏者と著しく異なる音楽作りを示す結果となる。 そのため、その音楽作りの全体像の中では、明らかに欠落した要素があるように みうけられることもある(もちろん本人たちはそうは思っていないのであるが…)。 グールドの場合では、「ポリフォニー的造形」を常に考え抜いているために、 ノンペダル奏法に徹するあまり、現代におけるピアノという楽器の幅広い可能性を あえて犠牲にしてしまう。ただこれは、グールドがバッハ演奏するときのように、 バッハ時代のチェンバロを意識したことであれば、そこに大きな意味も生まれてくる。 だから、なぜグールドがショパンを弾かないのかという理由は、 あえて言わずともご理解いただけるであろう。 そのため、この一派のピアニストは、その欠落していると見られる要素があるために、 常に酷評と隣り合わせの危険性を抱えているのである。 さてそこで、ポゴレリチはショパン弾きなのだろうか…? 彼がグールドとは異なり、ショパンを弾く理由はただ一つ、 彼の音楽は知的であると同時に、並外れたエモーショナルな音楽を 志向しているからだ。 先ず言うべきことは、ショパンの音楽が支配しているものは「センチメント」である。 「センチメント」を表現するために、あらゆるピアノテクニックを駆使して 彼は作曲したのである。 その意味から、ショパンはピアノによる絶対音楽を追求したロマン派の作曲家と言える。 だから、彼自身は絶対音楽者であるバッハを敬愛していた。 そこが、ショパンが同時代の他の作曲家と決定的に違うところである。 その意味から言えば、ポゴレリチのショパンは、見事にショパンの センチメンタルな情念をピアノ音楽として徹底的に生み出すことに成功している。 それは、彼の激しいエモーションが原動力となって可能となっているのである。 このショパンの「前奏曲」は、24のポエトリーを遺憾なく紡ぎ出していて秀逸である。 表出された一曲一曲が明確なセンチメントを表現していて美しい。 15番の「雨だれ」だけをとっても、これまでの他のピアニストの演奏を圧倒している。 ここでは、甘い恋話などは関係ないのだ。 まるで十字架に磔になるキリストの物語のように、世界の苦しみを 独りで背負っているような恐ろしい孤独の世界を出現させている。 一度お聴きになれば、それがはっきりと解るはずである。 そして、ポゴレリチはショパンを弾くためのピアニストであると確信できる。

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  • ★★★★★ 

    Marthy  |  POLAND  |  不明  |  2011年07月15日

    ゆるやかなテンポの作品が特に素晴らしいです。有名な「雨だれの前奏曲」なども収録タイムをみるだけでは、かなりテンポが遅いのだろうと思いましたが、実際聴いてみると、まったくと言っていいほど、テンポの遅さは感じませんでした。

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  • ★★★★★ 

    盤捨印  |  東京都  |  不明  |  2011年06月26日

    鮮烈な解釈。肺腑をえぐるような痛切な抒情。このピアニストは尋常ではない。やはり抒情的で個性的なエッシェンバッハの前奏曲集はモノトーンの調べだったが、ポゴレリチのパレットは様々な絵具で彩られ、演奏は絢爛。ホロヴィッツやポリーニのピアノの音色をさらに神経質にしたような響きは独特で時にヒステリック。24曲目は棹尾を飾るにふさわしい圧倒的な名演。

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  • ★★★★☆ 

    猫荷古盤  |  熊本県  |  不明  |  2010年07月20日

    アクロス福岡でショパン、ブラームス等の実演を聴くことができたのですが、プログラムは直前のアナウンスで変更するわ、休憩時間はないでトイレにも行けず(本人は一旦引っ込んだりする)ひやひやしました。トイレから駆け戻る御婦人達をじっと睨んだりするまるで危ないピアニストです。演奏が速かったり遅かったり(概ね超スローテンポ)どうなることかと思った3時間でした。このレコードはずっと以前の録音ですが、あらためて買いなおして聴いてみるとやはり兆しはあります。「演奏が凄いので全て許される」のかもしれません。わたしももう一度聴いてみたいです。

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  • ★★★★★ 

    つよしくん  |  東京都  |  不明  |  2010年05月01日

    これはとてつもない超名演だ。ショパンの前奏曲には、本盤の前には、オーソドックスなルービンシュタインの名演や、フランス風のエスプリを織り交ぜた個性的なフランソワなど、名演が目白押しであり、そうした並みいる名演の中で、存在感を示すのは、並大抵の演奏では困難であった。ところが、このポゴレリチ盤は、海千山千の難敵を見事に打ち破ってくれた。それにしても、何と言う個性的な解釈なのだろう。唖然とするようなテクニックにも圧倒されるが、一部の人が高く評価するポリーニのように、機械じかけとも評すべき無機的な演奏には決して陥っていない。どの曲をとっても、切れば血が吹き出てくるような力強い生命力に満ち溢れていると言える。また、各楽曲の弾き分けは極端とも言えるぐらいの緩急自在の表現を示しており、例えば、雨だれとして有名な第15番と、強靭な打鍵で疾走する第16番の強烈な対比。それが終わると、今度は第17番で、再び深沈たる味わい深さを表現するといったようなところだ。ポゴレリチの凄さは、これだけ自由奔放とも言える解釈を示しながら、決してあざとさを感じさせないということだろう。それは、ポゴレリチが、ショパンの前奏曲の本質をしっかりと鷲掴みにしているからにほかならない。今後、このポゴレリチ盤を超える名演は果たして現れるのだろうか。彼の後に続くピアニストにとっても、本盤は相当な難問を提示したと言えるだろう。

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  • ★★★★★ 

    アーノンクール  |  岡山県  |  不明  |  2010年01月24日

    私の愛聴盤なのに星5つのレビューがないので書きます。HMVのレビューに付け加えることはあまりありませんが、遅い演奏という印象は全く受けません。個々の曲のドラマが最大限に引き出されています。この演奏を聴くと、コルトーもフランソワも平凡に聴こえます。同じDGのポリーニやアルゲリッチ、ピリスのものと比べ、低域が充実している録音も見事です。第24曲は彼が大きく呼吸する音が生々しく収録されていて、凄味のあるテクニックと相まって、圧倒的な感銘を与える終曲となっています。まだの方は是非聴いてみてください。

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  • ★★★☆☆ 

    pianomania  |  トロにマヨネーズ  |  不明  |  2007年03月31日

    聞く専門ならばこの演奏で十分。細部が面白いが、ショパン音楽の声部の独立が分かってない人の演奏。初見で見事に弾けてしまう抜群に上手いプロに共通の欠点。ショパンを普通に理解してる人なら前奏曲の一番を右手部分だけで必ず最低3つに分解してから分析する。そうすれば私程度の意見は普通の人が普通に聴いた普通の意見に過ぎないことがわかるはずだ。ポゴはポリフォニックな音楽に全く興味がないのだろう。この録音は「24の小曲集」としたほうが正確だ。ポゴの音楽だ。

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  • ★★★★☆ 

    ひのき饅頭  |  愛媛県  |  不明  |  2005年04月03日

    相当昔の話ですが、CMでこの人の演奏が使われていたことがあります。凄い演奏だなと感心して、CDを買いました。8番のまるで筋肉質の物体が疾走するかのような速度感にはまってしまい、何度も聴きこみました。でもこれは前奏曲ですから、ハーモニーの推移をもう少し明確にしたほうが良いと思います。でもそれは技術的に困難を極めると思いますし、この上質の演奏の上にそれが加わると思うとゾクゾクします。再録してくれないかなあ。この演奏はこの演奏で大推薦ですよ。DGから出ている「前奏曲集」では一番いいと思います。

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  • ★★★★☆ 

    camille  |  埼玉県  |  不明  |  2002年08月07日

    プレストがかかった曲、16分音符が目立つ曲は情熱的に、7番イ長調や15番変ニ長調「雨だれ」はスイートに、スローに弾いていらして、子守唄のようでした。特に衝撃的だったのが5番ニ長調を27秒ですっきりまとめてるところです!!今まで私は3名のピアニストの24の前奏曲を聞きましたがこれは個性的です!!

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