エイドリアン・スミス(g)によるPRIMAL ROCK REBELLIONに続く、IRON MAIDENの課外活動は、御大スティーヴ・ハリス(b)によるソロ・デビュー作となった。スティーヴを中心とした5人編成バンドで制作されている。タイトルからしてブリティッシュテイストが強いものと思いがちだけど、実はそうでもなく普遍的なクラシックをやっている。�Dや�Fに至ってはUSロック風で驚くと同時に、肩に力が入らずゆったりと聴ける。全編をいい感じのムードが漂う。

19ヵ国で1位に輝き、グラミー賞を獲得した『ザ・レジスタンス』（2010年）に次ぐ、ミューズ通算6枚目の新作。作品毎に驚くべき進化を遂げる彼らが今回創り上げたのは、エレクトロポップ×クラシックロック×オーケストラルな新サウンド。ロンドン五輪公式曲に選ばれた激情ロックオペラ“Survival”、80年代ファンク風の“Panic Station”、ダブステップを意識したドラマティックな“The 2nd Law”組曲など、これまで以上に多様性に富んだ作風だ。感情と思考を大きく揺さぶるこの有機的なエレクトロニカが、年明けのさいたまスーパー・アリーナ公演でどう再現されるのか、見物である。

BULLET FOR MY VALENTINEのマット・タック（vo,g）が、11日のオフの間にメンバー集め、作曲、レコーディングをすべて行った新バンドがデビュー。BFMV、PITCHSHIFTER、CANCER BATS、GLAMOUR OF THE KILL、RISE TO REMAINと参加メンバーの本業バンドのどれよりもヘヴィかつブルータルなサウンドを追及している。メタル然としたリフはもちろん、パンチのあるブレイクダウンも搭載したブルータルな仕上がりだ。マットのヴォーカルがキャッチーな響きを演出しているので、聴きやすさはキープ。日本でもライヴができる日が来ることを祈ります。

KILLSWITCH ENGAGEらとともに「メタルコア第一世代」として貫禄を見せつけるAILDの6作目。前作『THE POWERLESS RISE』で見せたアグレッション、スピードをさらに強化しつつ、メロディもさらに充実させた。要はこれまでの延長線をまっすぐに走っている作品なのだが、一切の甘えがない、硬派なサウンドは健在だ。テクニックも過去最高だが、攻めまくるサウンドに抜群の安定感を加えている。メタルコアのなかでも1、2を争うほどフォロワーの多いバンドだが、作品ごとに大きく差をつけ続ける姿には脱帽だ。

LOUD PARK 12にて、三度目のヘッドライナーを飾る「帝王」の12作目。ジェフ・ハンネマン（g）が昨年毒グモに噛まれたせいでツアーからも作品制作からも離脱した状態だが、あの返り血をまき散らすかのような残虐なステージは楽しみだ。今作はブラストビートだけでなく、メロディをほんのり追いかけるヴォーカル等、新しい試みにも挑戦した意欲作だ。次の作品ではどのようなことに挑戦しているのか、詳細が楽しみだ。現在EXODUSのゲイリー・ホルトがサポートしているというライヴも見逃さないように。

シングル『その向こうへ』がキャリア史上最大のヒット、7月の自主イベント「京都大作戦」も大成功と勢いが止まらない10-FEETの3年ぶり、7作目のフル。前作『Life is sweet』はスピード感とヘヴィさに主軸が置かれた感があったが、今回はさらにメロディを強化。全曲に強いフックを搭載した作品となった。京都大作戦でも披露されたバラード“シガードッグ”も素晴らしいが、1:30を切るショートチューン“DAVE ROAD”ではTAKUMA（vo,g）のメタル愛が炸裂。メロディを強化したと書いたけど、鍛えた筋肉は少しも衰えちゃいないのだ。「ソングライティング」の神髄とはこういうこと。素晴らしいアルバムになりました。

いつのまにか「日本語のうまい外人」としてマーティー・フリードマンを猛追しているスコット・マーフィー（vo,b）ですが、このALLiSTERを忘れてはいけません！2010年の復活作に続く通算5作目のお目見えです。さすがに2000年代前半のDrive-Thru全盛期を支えたバンド。パリっとした疾走感と、エモくなりすぎずに親しみやすいメロディが全編に響く会心作になっています。ときたま切なげなヴァイブを放ちつつも、とにかくすっと体になじむパワーポップ／メロディック・パンクは健在！今作を発売したその週末には来日公演も決定済み。この美しい流れはチェックしていただかないと。