HMVインタビュー:FAR EAST MOVEMENT

2011年3月31日 (木)

interview

FE

全世界で“ムーヴメント”を起こしている4人組エレクトロ・ヒップホップな超アジアン・ユニット、ファーイースト・ムーヴメントがいよいよ 日本に本格上陸!日本盤ボーナス・トラックでは、あの倖田來未との共演が実現するなど、注目度急上昇の彼らにロング・インタビュー!
インタビュー・文:二木崇(D-ST.ENT)
通訳:山中ひかり(ユニバーサル)

--- 前回のインタビューでも「イビザなどのビッグパーティーでは、USのメジャーなヒップホップのヒット曲はリリックで逆に盛り下がるため、インストかラップをカットしたリミックスしかかからない」というジレンマについて話した覚えがありますが、このアルバムは本当にそのままかけられるアンセムばかりだと思いました。リリックについて意識したこととは?

ケヴ:そう言ってくれてありがとう。今回の歌詞は初めてバンドが一丸となって書いたんだ。これまでは、それぞれが自分のパートを別々に書いて持ち寄るというやり方だったんだけど、今回はFree Wiredなアプローチをとった。「これは自分達にとっても新しい、いろんなもののマッシュアップしたサウンドなんだから、歌詞もみんなで一丸となって意見を出し合ってマッシュアップしよう」ってことになったんだ。だからどの曲も、みんなでこんな感じのテーブルを囲んで座って、出来上がった、或は出来上がりつつあるビートやトラックを掛けながら、アイディアを出し合ったんだ。そしてどの曲も、僕たちのライフスタイルを反映している。「Rocketeer」にしても、「Like a G6、White Flag」にしても、全て、恋愛、夢、夜遊びといった僕たちの人生の断片なんだ。ロスのダウンタウンで暮らす僕たちの日常に基づいている。このアルバムではとことん自分達らしさを貫きたかったんだ。というのも、インディからチェリー・トゥリーみたいなメジャーと契約して、普通ならメインストリームでは何が求められるんだろうって意識してしまうところを、僕たちの場合、最初にマーティン・キールセンバウムが「君たちが新しいサウンドを作った。そんなパーティーに僕も招待されたい」と言ってくれたんだ。そんな業界で一番イケてるレーベルの社長に「君たちのパーティーに僕も行きたい」と言われたことが、自信に繫がったんだ。人になんと言われようと気にするのはやめよう。Far East Movementが何なのかをここで定義して、歌詞とサウンドを通して僕たちがどうやって毎日を生きているかをみんなに見せようじゃないかって決めたんだ。だからこそ、ありのままの自分達を表現したこの作品を、チェリー・トゥリー/インタースコープを始め、日本のユニバーサル・ジャパンも評価してくれて押してくれてるってことが本当に自分達の励みになっている。

--- アルバムの音楽性は、ハイパーなダンスミュージックを軸に、ヒップホップ、R&B、エレクトロなどのあなたたちらしいバランス感覚が窺えます。他人に自分たちの音楽性を言葉で説明するとしたら、どんな風に説明しますか?自分たちで“アーバン”、“クロスオーバー・ポップ”のどちらだと思う?

ケヴ:僕たちの音楽はFree Wiredに尽きる。だからこそアルバムのタイトルにしたんだ。アーティストとしても、一音楽ファンとしても一つのジャンルでは語れない。多種多様な音楽を聞く。そんなサウンドと僕たちの生き方を言い表してくれる名前が欲しかったんだ。それをアルバムのタイトルにしたかった。だから人に『Free Wired』の音楽をどう表現したらいいですか、と聞かれたら「free wiredさ」と答える。もっと具体的に言うと・・・・ヒップホップと同じくらいエレクトロ、トランスやロックも好きなんだ。例えば、DJティエスト、ポール・ヴァン・ダイク、ダフトパンク、MGMT、 あとMUSEも好きだな!今のスタイルは、ステレオタイプスと出会ったこと、あとヴァーマンのディレクションの賜物だね。あと、色んなクラブ・・・しかも 遊びなれた大人のクラバーが集まるところに行くようになったことも影響している。

スプリフ: 言ってみれば、ハイエナジーなダンス・ミュージックだね。パーティー命、みたいな。今の方向性は、そんな風に海外をツアーして、その土地の人たちやダンス・ミュージック、クラブ・カルチャーに触れて変わった部分もあると思うな。

プログレス:アルバムも自然とそういう今の自分たちの気分を表したものになったよ。

--- 今、もっともシンパシーを抱いているアーティストは?

スプリフ:直ぐに思いつくのはビースティ・ボーイズだ。3人のMCと1人のDJというスタイルもそうだし、はちゃめちゃな感じとか、パンクとヒップホップを融合させたり、自分達でも楽器を弾いたり、ビデオでもライヴでも常に楽しんでるってのが伝わってくる。彼らのDVDをしょっちゅうみんなで見ては、動き方とか研究しているんだ。ステージの間の取り方とかね。彼らのことをあまりに尊敬しているんで、アルバムの「So What」で敬意を表している。彼らの「What you want」をサンプリングしていて、それを承諾してくれたのも凄く光栄だ。いつか、一緒にレコーディングかライヴ共演が叶わなくても、対面できたら嬉しい。

ケヴ:あとはリンキン・パーク。彼らはヒップホップとロックをマッシュアップして、ヴィジュアルにおいても常に斬新なものに挑戦している。ビデオも全て自分達で手がけているし、独自のサウンドも確立して、アルバム毎に進化し続けている。凄く刺激を貰っている。

プログレス:チェリー・トゥリー所属の他のアーティスト全員。僕らが目指すオルタナ・ポップというものを彼らは正に体現していて、常に斬新なサウンドに挑戦している。ロビン、ラ・ルーにしてもだ。あとナタリア・キルス、フランクミュージック。みんな素晴らしいサウンドを持っていて、パフォーマンスも素晴らしい。彼らと仕事をするとたくさん刺激を受ける、同じグループに所属できて嬉しいよ。

ヴァーマン:僕はやっぱりアウトキャストかな。彼らは決して枠にとらわれない。彼らが曲を出す時っていうのは、どんな曲が出てくるのかまったく想像がつかない。だからアルバムにはどんな曲が入っているのか思わず聞きたくなる。正にFree Wiredそのものだよね。何が出てくるかわからないけど、何が出てきても素晴らしいっていう。

--- アルバム中のそれぞれの達成感の高かった曲を上げてください。また、次のシングル候補曲は?

ケヴ:この質問をよく聞かれるんだけど、全員が思い入れという点で「Girls on the dance floor」だろう。この曲が今のFree Wiredなサウンドへの扉を開いてくれたし、この曲がきっかけでチェリー・トゥリーと契約ができた。あとpower houseでジェイ・Zの前座ができたのもこの曲のお陰だし、地元のロスで初めて大ヘビー・ローテーションになった曲だ。そういう特別な意味を持つというので、この曲と言わざるを得ない。 。

スプリフ:俺たちが初めて産んだ子だ。

--- FMのムーヴメントとは?

ケヴ:それぞれがルーツを大切にしてるんだけど、自分たちが育ったサザン・カリフォルニアのカルチャーが基本になっていると思う。言語も英語を話すわけだ しね。アジア系のステレオタイプを打ち破る、という意味でこのグループ名を付けたんだけど、今はアメリカだけでなく、世界を見てる感じかな?だから、この ムーヴメントはエイジアンじゃなければ参加できないってわけじゃないんだ。自分たちの音楽を理解して、一緒に楽しんでもらえるのなら誰でもOKさ!

プログレス:YouTubeに「Like A G6」を上げた時も、最初は英語のコメントばかりだったけど、そのうちに中国語、日本語、ポルトガル語、フランス語、ドイツ語・・・とか、色んな言語のコ メントが次々と届いて、国境やジャンルを超えて広く理解されてるんだな、と思ったね。自分たちもそういうボーダーレスな存在でいたいしね。

--- 貴方たちが提唱するフライ・ミュージックとは?

ケヴ:音楽をセンターにしたライフ・スタイルなんだけど、LAでもまだそんなに浸透していないと思う。時代の最先端・・・イケテルとか飛んでる感じ。僕からしたら日本人はみんなフライだよ 。

--- 日本のファンにメッセージを

ケヴ:みんなアリガトウ!このアルバムを聞く時はみんなもFree Wiredの世界と繫がっているんだから、いつでもネットで僕たちに声をかけて。ホームページをチェックしてくれてもいいし、ブログもtwitterも facebookもやっているから。またライヴでみんなに会えるのを楽しみにしているよ!

新譜Free Wired
これが最先端“極東情勢”。ジャパニーズ・アメリカン、チャイニーズ・アメリカン、コリアン・アメリカンからなる4人組エレクトロ+ヒップホップな超アジアン・ユニット=Far-East MOVEMENT(ファー・イースト・ムーヴメント)アジア系代表として、ムーヴメントを起こす!通算、4枚目にしてメジャーデビューを勝ち取った彼ら。あのレディ・ガガが見出し、彼らの才能を高く評価。所属レーベル契約に導びきツアーに同行させたというのは有名な話。そんなガガの後押しもあり、「'Like A G6」がビルボード・シングル・チャートで1位を記録。エレクトロ・ミュージックを大胆に取り入れたヒップホップはまさに世界レベルのクオリティ!日本盤はあの倖田來未とのコラボ曲などがボートラで追加収録。