100人の偉大なアーティスト - No. 33
Tuesday, May 20th 2003
ボサ・ノヴァの創造主ジョアン・ジルベルト(1931年1月10日)、ブラジルはバイ-アに生まれ育った彼は1958年に「シェーガ・ヂ・サウダ-ヂ(想いあふれて)」という名曲を生み、まさにこれが『ボサノヴァ』という音楽史に初めて刻まれた曲。『ボサノヴァの父』と呼ばれる所以である。ジョアンの頭の中には、いつも彼を興奮させるフレーズやメロディが溢れ、常に音楽に没頭していた。アストラッド・ジルベルトの後に妻となったミウシャの話によると、彼はベッドの中でもしきりにギターを弾いていたとか。そして頑固一徹、徹底した音作りをする為、周囲を困らせ、それは、一般人から見れば狂気的なまで徹底振りだった。リハーサル等を度々すっぽかしたり失踪してみたり、遂にはドラッグなど...。そんな奇怪な噂とは正反対に、神のように優しい歌声と爪弾かれるギターの音色...。こんなに暖かみを帯びた深く優しい歌声は唯一無二。言葉じゃなく心が歌い奏でるのだ。恐らく彼は神様に違いない。
『Most Influential...』。最も影響を与えたアーティストをTOP100でご紹介しているこの企画だが、『ボサノヴァ』は今や世界中に浸透し、世界中のアーティストたちがスパイス替わりに使うのなんざ日常茶飯事。このボサノヴァを作ったのがナニを隠そうこのジョアンなのだから、影響を与えた...どころではない。いくら次世代のフォロワー達がジョアンを崇拝し真似をしたところで敵う相手ではない。彼のオリジナル曲を聴いてしまえば、ジョアンを超えるボサノヴァ・アーティストなぞ今後出現するだろうか、とまで思ってしまう。かといってジョアンが誰よりも優れたギター・テクニックやヴォーカル・テクニックを持っていたかというとそうでもなく、それこそが誰も踏み入ることが出来ない境地なのだ。
2000年、2月遂に沈黙を破り新作の完成と共に我々の前に現われた。「ボサノヴァの父」 ジョアン・ジルベルト、前作のアルバム ジョアンから約10年のインターバルを経てリリースされたスタジオ録音アルバム Joao Voz E Violao直訳は「ジョアン・声とギター」、タイトルどうりまさに一切の装飾を取り去り、歌とギターだけを注ぎ込んだシンプルかつ入魂の全10曲をカエターノ・ヴェロ-ゾがプロデュースした。ジョビン作の(5)「ヂサフィナ-ド」、やジルベルト・ジルの作品(6)「エウ・ヴィン・ダ・バイ-ア」そしてこれは初録音となるカエターノ・の作品「コラサォン・ヴァガブンド」も素晴らしい輝きを放つ。
カエターノは今回の共演にてジョアンに古いサンバ・カンサォンを歌う事をすすめたらしい、ブラジル音楽ファンなるずとも長年待望だった夢の共演がついに実現!早くも2000年度のワールド・ミュージック界最大の話題は間違いなしとなった!
ジョアン・ジルベルトは50年代の初めに人気のあったヴォーカル・グループ、ガロットス・ダ・ルアに参加するが、リハーサル等を度々すっぽかすなどしてこのグループかをクビになってしまう。この頃より彼の奇行奇癖ぶりがあらわとなっていくのである。友人の家に泊まり歩き、行方知れずとなるも頻繁な事、マリファナに手を出してしまったり等のよろしくない噂話しもしきりであった。その後に名曲「シェーガ・ヂ・サウダ-ジ(想いあふれて)」が誕生し衝撃的なデビューを飾る事となる。頑固者、完璧主義者のイメージどうりジョアンはアルバムの製作上にても妥協を許さなかった。オーケストラから録音のスタッフに至るまで事細かに指摘発言等したそうである。
ジョアンの様々なる半生が綴られたプロフィールを見ているとまさに「カリスマ」というのはこの人の事を言っているかのようである。アントニオ・カルロス・ジョビン他ジョアンを取り巻くアーティストたちの愛も見えてくる。名盤「ゲッツ・ジルベルト」にても隠された?製作話があったらしいが、彼の噂に対してもいったいどこまでが真実なのであるかは謎である。
今もなお若い世代にもジョアンの音楽受け入れられるというのは素晴らしい事である。なにも考える事なくジョアンのアルバムを手に取って「オシャレだから~」であったとしても、それはそれで影響力があるのだから凄い事なのである...のだが。ジョアンの最新作「声とギター」、なんてシンプルなタイトルなんだろう、音を聞いているとアルバムの中に吸い込まれて行く様な錯覚にさえ陥るのであるが、この至福感はぜひとも皆さんに味わって頂きたい。ギターの音の素晴らしさ、そしてジョアンのこの味のある声はとても文章にて表す事など出来ないのである。
最後に気になるのは、セクシーな女性の(目の下から鎖骨まで)「静かに聴いて」と言っているかのジャケットである。アルバムを聴き終えてからもずっと印象に残るベストなイメージ写真。まさにジャケットは語っているのだ。
for Bronze / Gold / Platinum Stage.
top 100 most influential artists The List So Far....
- 1. John Lennon
- 2. Miles Davis
- 3. Elvis Presley
- 4. Bob Dylan
- 5. Bob Marley
- 6. Jimi Hendrix
- 7. Louis Armstrong
- 8. Paul McCartney
- 9. Chuck Berry
- 10. David Bowie
- 11. Eric Clapton
- 12. James Brown
- 13. Frank Sinatra
- 14. Aretha Franklin
- 15. Robert Johnson
- 16. Brian Wilson
- 17. Burt Bacharach
- 18. Marvin Gaye
- 19. Kurt Cobain
- 20. Phil Spector
- 21. Jimmy Page
- 22. Billie Holiday
- 23. Antonio Carlos Jobim
- 24. Otis Redding
- 25. John Coltrane
- 26. Stevie Wonder
- 27. Carole King
- 28. Quincy Jones
- 29. Freddie Mercury
- 30. Madonna
- 31. Jeff Beck
- 32. Frank Zappa
- 33. Joao Gilberto
- 34. Curtis Mayfield
- 35. Ella Fitzgerald
- 36. Charlie Parker
- 37. Janis Joplin
- 38. Neil Young
- 39. Hank Williams
- 40. Michael Jackson
- 41. John Williams
- 42. Bill Evans
- 43. Joni Mitchell
- 44. Elton John
- 45. John Lydon
- 46. Fela Ransome Kuti
- 47. Jim Morrison
- 48. George Harrison
- 49. Thelonious Monk
- 50. Duke Ellington
- 51. Ozzy Osbourne
- 52. George Gershwin
- 53. Little Richard
- 54. Keith Richards
- 55. Marc Bolan
- 56. Brian Eno
- 57. B.B. King
- 58. Lou Reed
- 59. Ryuichi Sakamoto
- 60. Cole Porter
- 61. Pete Seeger
- 62. Serge Gainsbourg
- 63. Prince
- 64. Ray Davies
- 65. Sly Stone
- 66. Woody Guthrie
- 67. Bud Powell
- 68. Sam Cooke
- 69. Herbie Hancock
- 70. Ennio Morricone
- 71. Todd Rundgren
- 72. Elvis Costello
- 73. Sergio Mendes
- 74. Tatsuro Yamashita
- 75. Duran Duran
- 76. Kiss
- 77. Ray Charles
- 78. Richie Blackmore
- 79. Muddy Waters
- 80. Nat King Cole
- 81. Haruomi Hosono
- 82. Syd Barrett
- 83. Chet Baker
- 84. Wes Montgomery
- 85. Iggy Pop
- 86. Buddy Holly
- 87. Henry Mancini
- 88. Jerry Garcia
- 89. Sting
- 90. Paul Weller
- 91. Jaco Pastorius
- 92. Sunny Boy Williamson
- 93. Eddie Van Halen
- 94. Norman Cook
- 95. Brian May
- 96. Beck
- 97. Devo
- 98. Charley Patton
- 99. Count Basie
- 100. Captain Beefheart