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Top 100 Albums - No.92

Sunday, February 22nd 2004

カリフォルニケイションレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下レッチリ)が1999年に発表した通算7作目となるアルバムで、「復活作」という呼び名が相応しい作品である。そもそもレッチリは表立った活動停止。ましてや解散もしていない訳だから、復活という形容は正しくないのかもしれない。しかしカリフォルニケイションは紛れもなくレッチリにとってエポック・メイキングになったアルバムである。

カリフォルニケイションの前作にあたるワン・ホット・ミニッツは元ジェインズ・アディクションのギタリスト、デイヴ・ナヴァロが突如ジョン・フルシャンテを脱退ジョンの後を引き継いだアルバムであり、駄作とまでは言わないまでもいくらかのパワー・ダウンを露呈してしまったことは否めない事実だろう。この頃のレッチリは、 ジョンの脱退による深い精神的ダメージ、さらに追い討ちをかけるような親友リヴァー・フェニックスの死などもあり、バンド内のモチヴェーション的には最悪であったと思われる。 ワン・ホット・ミニッツはそうした思わぬ出来事/トラブルが反映されてか、母乳ブラッド・シュガー・セックス・マジックと比べ、やや内省的な指向を持つアルバムとなった。また当時はレッチリの後進バンドとも言えるレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがメキメキと頭角を現しつつあり、近い将来に世代交代もありうる…との声も少なくなかった。しかし後にレッチリはカリフォルニケイションで見事に復活を果たす。

カリフォルニケイションを語る上で最も重要なポイントはジョン・フルシャンテの復帰だろう。今でこそ天才と呼ばれるジョンであるが、 カリフォルニケイション以前は音楽的な才能よりもドラッグにまつわる問題/奇行について言及される事の多い所謂問題児だった。メンバー全員がドラッグ・フリークで知られるレッチリのメンバーのなかでもジョンのそれはとくに酷く、 ブラッド・シュガー・セックス・マジックリリース後の来日公演の真っ只中、突然バンド脱退を表明し、独りアメリカへと帰国というとんでもない離れ業をやってのけた。レッチリ脱退後に発表した2枚のソロ・アルバムもクスリの影響が色濃く打ち出ており、レッチリ/ジョンをよほど深く理解していないリスナーには掴み所のないサウンドで、当時は聴く価値もないゴミ音楽と酷評するプレスもあったほどだ。しかしその危うさの裏側にはある種の美しさがあった。そしてその美しさが前面に打ち出されたのがカリフォルニケイションなのである。

“アンダー・ザ・ブリッジ”や“ソウル・トゥ・スクイーズ”に代表されるバラード/ユルい系・ナンバーがほとんどを占めるこのアルバムは、前作ワン・ホット・ミニッツよりも地味で派手さに欠け、レッチリに過去の荒唐無稽なファンク・サウンドを求める向きには物足りなさを残してしまうかもしれない。実際リリース当時には「俺の好きなレッチリはこんなに枯れたバンドじゃねぇ!」という声が挙がったほどだ(職場の同僚数人が言っていただけだが・・・)。しかしこの「枯れ」こそがカリフォルニケイションのキモなのである。言うまでもなくこの「枯れ」を持ち込んだ張本人が、先ほどから散々登場しているジョン・フルシャンテ。楽器に関して門外漢な筆者であるので、「哀愁を帯びたブルージーなギター」「頭の中で思い描いた自由なイメージをギターでそのままに表現した」くらいにしか形容できないことが恐縮ではあるが、ここのでジョンのギター・ワークは素人耳にも素晴らしいものがあり、チャドとフリーのリズム隊によるグルーヴ、歌うことに自覚的になってきたアンソニーのヴォーカルすらもジョンのギターに引っ張られている感すらある。

アルバムの幕を開ける“アラウンド・ザ・ワールド”や“ゲット・オン・トップ”といった十八番のファンク・ナンバーや“ライト・オン・タイム”といったテンポの速い曲も健在ではあるのだが、やはり「やるせなさ」や「切なさ」がアルバム全体のトーンを決定付けている。特にリード・シングルでもある“スカーティシュ”や“ポースリン”“ディス・ヴェルヴェット・グルーヴ”“ロード・トリッピン”あたりでのメロディ/ハーモニーの充実振りは特筆すべき。アンソニーがこんなにも歌えるヴォーカリストであることに驚かされるし、ジョンのギター/コーラスも最高である。

レッチリを未聴の若いリスナーに最初にオススメするアルバムならばブラッド・シュガー・セックス・マジックあるいはグレイテスト・ヒッツを推すのがセオリーなのだろう。
このカリフォルニケイションは、逆に現在進行形のロックを聴かない往年のロック・ファンにこそ強くオススメしたい。かつてのバカ騒ぎミクスチャー・バンドの印象はすっかりと影を潜め、美しいメロウネスに満ち溢れた本当に素晴らしい作品なのだから。
テーマや背景にあるものこそ違えど、イーグルスホテル・カリフォルニアとの聴き比べなんて面白いと思うのだが。

* Point ratios listed below are the case
for Bronze / Gold / Platinum Stage.  

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Californication

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Red Hot Chili Peppers

User Review :5 points (152 reviews) ★★★★★

Price (tax incl.): ¥1,430
Multi Buy Price
(tax incl.): ¥1,072

Release Date:04/June/1999
usually instock in 2-3days

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