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100枚の偉大なアルバム - No. 48

2004年4月6日 (火)

Bud Powell 以降の全ピアニストに多大な影響を及ぼした不滅の天才ジャズ・ピアニスト、 Bill Evans の名前をジャズファンの記憶に刻んだ不朽の人気アルバム。

 1950年代後半、ハードバップの嵐にさらされていたジャズ界にあって、ピアノ・トリオという「継子扱い」のフォーマットでストレイトアヘッドなジャズに対抗しえていたのは、バド・パウエルくらいであり、そうした意味でビル・エヴァンス・トリオ(あえて、トリオ)の登場は、ホーン中心のジャズという音楽にとって、エンターテイメント系でないピアノ奏者にとっての福音書だったといってもいいだろう。

 Tony Scott 傘下で「修行=苦行」を積んだ31歳のビル・エヴァンスは、1961年6月25日、ニューヨークのもっとも人気のジャズスポット「ヴィレッジ・ヴァンガード」に、Scott LaFaro、Paul Motianを擁するトリオで出演していた。

 同じく天才の輝きを放ちはじめていたラファロが、10日後に自動車事故でこの世を去ったことを考えると、この日のセッションが、まさに神が与えた一期一会の「時間」だった。

 1956年に録音された初リーダー作、『New Jazz Conception』から、次の『Everybody Digs Bill Evans』まで2年間が経過し、エヴァンスの人気と実力は58年のマイルス・グループへの参加によってステップアップした。

 やがて、本作の参加メンバーの二人に出会うことによってエヴァンスはマイルス傘下から抜け出して独自の道を歩み始めた。そうした意味ではこの作品に収められた演奏はエヴァンスにとっての『独立宣言』といっていい演奏である。

 ジョン・コルトレーンがマイルスから離れていったと同じ様にエヴァンスもジャズの歴史に名前を残す“ジャイアント・ステップス”を掛け上がって行った。

 1961年6月25日、日曜日、ニューヨークのクラブ、「ヴィレッジ・ヴァンガード」は静かな興奮に包まれていた。午後2回夜3回のステージは「リヴァーサイド・レコード」の手によってライブ・アルバムとして録音された。そして、何とこの録音のたった10日後、スコット・ラファロは自動車事故死するのである。

 その意味では、鍛錬の時期からついにバド・パウエル以降のピアノ界に燦然と輝くピアノ・ジャイアンツの座を手に入れつつあったエヴァンスが、ライブという場で行った最高のプレイがここに収められている。

 アルバムとしては、追悼の意味を込めてラファロをより多くフィーチャーした『サンデイ・ナイト・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』が先に発売されたが、いずれもまったく甲乙付け難い演奏が繰り広げられている。

 近年、この日のステージの録音曲の23曲が発掘され、それぞれ前作に5曲、本作に4曲の未発表演奏が追加収録された。

 静かに演奏されるエヴァンスのピアノのバックから聞こえて来る“ヴィレッジ・ヴァンガード”の観客のざわめきは、そのまま「時代の空気」を伝えてくる。

 また、最近のオーディオ・テクノロジーの進歩によって、かつて聞こえなかった「観客の囁き」もはっきりと聞き取ることが出来る様になり、この晩の興奮が一層ストレートに伝わってくることになった。

 そうした歴史的な事実を別にしても、本作に収録された演奏がジャズピアノにおける、ひとつの典型的な演奏を具現化した作品であり、これからジャズを聴き始める入門ジャズファンにとっても、長年のジャズファンにとっても聴く度に新しい発見と興奮を見つけられる永遠の作品といえる。

 『Waltz For Debby』こそはビル・エヴァンスの音楽歴における最初で最後の至高の瞬間が記録された聴く度にジャズの真実が甦る、モダンジャズ史上不滅の名盤だ。!!

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ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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Waltz For Debby

CD 輸入盤

Waltz For Debby

Bill Evans (piano)

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発売日:1987年01月01日
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