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過小評価されているアーティスト 第30位

2005年7月15日 (金)

孤高の"うたうたい"斉藤和義。

斉藤和義

本日から開始の『過小評価されているアーティスト』の記念すべき第1回目のアーティストは...ジャパニーズ・ポップスから斉藤和義がエントリー。

斉藤和義は1993年8月に1stシングル『僕の見たビートルズはTVの中』でデビュー。現在まで、第1線で活躍するシンガーソングライターです。ロックシンガーであり、アコースティックな弾き語りもこなす”うたうたい”。そう、かれにはこの”うたうたい”という称号が良く似合う。ここでは、彼の生い立ちからアーティスト性の高さの秘密まで、探ってみましょう。

斉藤和義の生い立ち。

斉藤和義は、1966年6月22日に生まれる。出身地は栃木県。
小学六年生の時に母親が買ってくれたアコースティックギターが、彼のその後の人生を決めたといっても過言ではないという。中学・高校とギタリストしてバンド活動を行い、大学入学後、先輩の影響で曲作りを開始し、21歳で上京。そして数々の経験を重ね、93年にデビューする。

デビュー曲は前述の『僕の見たビートルズはTVの中』。その年の9月には、東京・日清パワーステーションにてデビューライブを行う。しかしながらどのアーティストもいえることだが, デビュー当時はやはり順風満帆ではなかった。

当時シンガーソンガライターとして人気のあるアーティストは少なく、95年に少し遅れてデビューする山崎まさよしや、97年デビューのスガシカオらの音楽性に影響を与えたと思われる斉藤和義。フォークの良さと、アメリカ的なロックサウンドをポップスに消化したサウンドは、当時から非常に受け入れやすく、特徴ある彼の歌声と共にじわじわと広ろがることとなる。

『歩いて帰ろう』でブレイク

94年にリリースされた4thシングル『歩いて帰ろう』で一つ目の転機を迎える。フジテレビ系「ポンキッキーズ」メロディに選ばれ、知名度がぐんとアップ。その後もこの楽曲はCMで使用されたり、他アーティストがカバーしたりと長く愛される楽曲となり、ライブでも必ず演奏され盛り上がる曲となる。

しかし、その後もしばらくは『歩いて帰ろう』のイメージが強く残り、”斉藤和義=ポンキッキーズの...”といったイメージが先行。アルバムとしては97年の『ジレンマ』あたりから、セールス的にも音楽的評価に追いついてくる。それまでの作品とは若干異なり、誰もが持つもの悲しさを、彼特有の優しく温かい視線で描いている自問自答の”自問”的なアルバムであるこのアルバムは、オリコン初登場8位を記録。そして、そのムードが名曲へと繋がる...

『うたうたいのバラッド』誕生

よくも悪くも”斉藤和義=うたうたい”というイメージになった象徴的な曲は、97年リリースの15thシングル『歌うたいのバラッド』だろう。本人曰く初めて歌えたというラヴ・ソングで、2005年、くしくもMr.Childrenの桜井和寿と小林武史らが結成したチャリティバンドBank Bandのライヴでも桜井和寿がカバーして、再び大きな話題を呼んだこの楽曲。

シンプルな歌の持つ魅力と、男の悲哀ともいえる哀愁感が詰まったこの曲は、後々まで歌い継がれる名曲として認知されています。またそれを受けてリリースされたアルバム『Because』もヒットを記録。今作は『ジレンマ』の対ともいえる“自答"的な内容で、彼のひとつの完成形ともいえる内容です。

また、それまでの活動を集約した98年リリースのベストアルバム『Golden Delicious』は、かなりおすすめ!それまでのヒット曲を完全網羅した、まさに「斉藤和義の集大成」といえる作品です!

『月の向こう側』

その後も精力的なライブ活動で人気を呼び、1999年に武道館公演、2004年には弾き語りで武道館公演を成功させる偉業を成し遂げる。そんな彼ですが、代表曲として「君の顔が好きだ」や「幸福な朝食 退屈な夕食」、「僕の見たビートルズはTVの中」などがありますが、あえてここで個人的に推したいのは「月の向こう側」

2001年12月にリリースされたこの楽曲は、ピアノとストリングスが効いた、美しいメロディが心に染み渡るバラード。何気にあまり認知度のない曲ですが、かなりオススメです。

2005年。斉藤和義はわが道を行く。

オリジナルアルバムでは2004年リリースの『青春ブルース』が最新リリース。デビューから10周年を迎え、ついに10枚目のオリジナルアルバムとなった。斉藤和義史上、最高にメロディアスな珠玉の作品に仕上がっている。ギター一本でも成立するアコースティックな響きを大事にしながら一人多重録音と、元くるりの森信行(Dr)、初恋の嵐の隅倉弘至(B)を迎えてレコーディング。過去最高に練られた歌詞、メロディ。シンプルな“うたもの”で綴られた内容は最高傑作にふさわしいアルバム。

最新リリースでは、2004年の武道館ライブを収録した『弾き語り十二月in武道館- 青春ブルース完結編』のCD版とDVD版が最新リリースとなっている。武道館でたった一人、弾き語りにもかかわらず(いや、弾き語りだからこそ)染み入る斉藤和義の「うた」。いわば、一切の無駄を省いた「うた」のエッセンスを抽出した作品と言えます。

評価されるべき貴重な存在・斉藤和義。

彼の活動には、一貫してピークというものがないように感じる。悪い意味ではなくて、平温ではなく中温くらいのところで、人々にメッセージを届け続ける。それは彼のライブの熱さとはまた一線を画していて、活動そのものは至ってマイペースであり、誰にもジャマされないペースを保ち続けている。

このアーティスト、アーティストした姿が、ほかミュージシャンから尊敬されるところであるし、のほほんとした彼独自のスタンスを築き上げている。いわば、日本の良心(?)ギターとうた、それがあれば十二分の表現ができることを彼は教えてくれる。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

斉藤和義 - THREE OF THE BEST