第5位

2005年9月3日 (土)

Nick Cave 個性的オーラを放ち続ける男

どことなくひねくれた雰囲気を持ち一筋縄じゃいかない男=Nick Cave。70年代のBoys Next Doorから始まりニューウェイヴ期に活躍したBirthday Party、解散後に結成したNick Cave & The Bad Seeds、そしてソロと30年近い音楽活動となるのだが常に聴くものを圧倒するパワーを持っている。

Nick Cave (本名:Nicholas Edward Cave)は1957年9月22日、オ−ストラリアのウォーリックナビールという田舎町にて3人兄弟の末っ子(次男)として生まれる。父は英語教師、母は図書館司書という厳格な家庭だった。

幼い頃より一風変わったところのあるNick Caveは12歳のころ地元のハイスクールを中退させられメルボルンにあるハイスクールへと転入させられた。しかし、ここでMick Harveyと運命的な出会いを果たしたのだった。Nick CaveMick Harveyとともにバンド結成の話をすすめ同級生を誘いバンドを結成した。このバンドが後にBoys Next Doorとなるのだが、Nick Caveは高校卒業後アートスクールに入学。

1979年にアルバム『Door Door』をリリース。アバンギャルドな彼らのステージは話題を呼んだものの一般的にはなかなか彼らの実験的なサウンドが受け入れられなかった。そうしたことやマネージャーの勧めもあり彼らはオーストラリアからイギリスへと拠点を移すことを決意したのだった。

拠点をイギリスに移したBirthday Party時代

バンド名をBirthday Partyへと変えイギリスでの生活をスタートさせた彼らは、DAFのサポートとしてライヴを行った際に偶然居合わせた4ADのIvo Wattsの目に留まり4ADと契約。1981年にはBirthday Partyとしてのファースト・アルバム『Prayers On Fire』をリリース。ニューウェイヴ期真っ只中にリリースされたこの作品で彼らはイギリス産のニューウェイヴにはない荒々しさとNick Caveの強烈なヴォーカル・パフォーマンスで認められたのだった。
その後ワールドツアーなども行い順調に行くのかと思いきやNick CaveとRowland Howardが対立を深め1983年に解散してしまった。

自分のために結成したNick Cave & The Bad Seeds

Birthday Party解散後Nickは自分自身のパフォーマンスを表現するためにNick Cave & The Bad Seedsを結成した。 Birthday Party時代に多くのアーティストとの交流を深めてきた彼の元に集まったのは盟友Mick HarveyをはじめEinsturzende NeubautenのBlixa Bargeld、Dirty ThreeのWarren Ellis、CrampsのKid Congo Powersなど錚々たるメンツだった。 こうした彼らの才能がNick Caveが表現したかっという退廃的で絶望さを含んだサウンドを作り上げた。

1984年には『From Her To Eternity』をリリース。これまでのポスト・パンク〜ニュー・ウェイヴ的手法は殆ど見らず、もともと古いブルースを好んで聴いていたというNick Caveの資質が全面に出た作品となった。
そして、1987年にはヴィム・ヴェンダース監督の『ベルリン天使の詩』にNick Cave & The Bad Seedsとして出演し"Carny"と"From Her To Eternity"を披露。その後も『亡霊の檻』や『ジョニー・スエード』といった映画に出演し怪演ぶりを披露したのだった。

7年越しの想いが通じカイリーと共演

1996年にリリースされたNick Cave名義でのアルバム『Murder Ballads』では同郷オーストラリアの歌姫、Kylie Minogueとの共演が実現した。6、7年越しの計画だったいうこの作品はそのタイトル通り<殺人>をテーマにしたアルバム。妻子を殺された中年男、嫉妬に狂った女に刺されて井戸に投げ込まれる男・・・、Nick Caveが低くくぐもった声で語る激情のドラマは、まるで軽佻浮薄の時代に逆行するかのように重厚でずっしりとした手応えに満ちている。愛の極限と悲哀を一身に凝縮した、まるで荘重な舞台劇のような圧倒的なヴォリュームと完成度。Nick Caveにとっては念願となったこの作品もKylie Minogueにとっては新たな世界を切り開く冒険だったのではいだろうか。 このほかにもPj HarveyPoguesのSahane Macgowanが参加している。

Nick Cave & The Bad Seeds名義でリリースしたり本人名義でのリリースなどその都度違っていたのだが、2001年リリースしたBad Seeds名義のアルバム『No More Shall We Part』では淡々とピアノを弾き、レナード・コーエン的な詩人的佇まい、スコット・ウォーカーなど演劇的な深い声シンガーの系譜を受け継ぎ活動を続けるべく存在を確立したのだった。

どちらかといえばメインストリームで活躍するアーティストでないことは確かだ。だが、しかし人間の奥底に持っている闇の部分を上手く表現するアーティストとしてはトップ・クラスだろう。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

フィーチャー商品